ドイツ海軍は2020年11月26日(現地時間)、老朽化した艦載ヘリコプター、シーリンクスMk.88Aの後継としてNH90の海軍版、NH90 NFHシータイガーをNATOヘリコプター管理局(NAHEMA)を通じ、31機発注しました。予算総額は約27億ユーロ(約3350億円)で、2025年から運用が始まる予定です。

 ドイツ海軍の現用艦載ヘリコプター、シーリンクスMk.88は1981年から19機が導入され、1996年には改良型のMk.88Aを7機追加導入しています。1998年には、先に導入した19機のMk.88もMk.88A相当に改修しましたが、機体の老朽化が進み世代交代が求められていました。

 このため、ドイツ国防省では後継機として、先に海軍のシーキングMk.41の後継として採用されているNH90 NTHシーライオンのマルチロール版、NH90 NFHシータイガーの採用を決定。31機分、総額で約27億ユーロの調達予算が2020年11月20日、連邦予算委員会で承認されました。

 NH90 NFH(Navy Frigate Helicopter)は、現在ドイツ海軍が調達中の輸送・捜索救難型、NH90 NTH(Navy Transport Helicopter)シーライオンをベースに、対潜・対艦戦パッケージを追加したもの。ディッピングソナーやソノブイといった対潜哨戒機器のほか、レオナルドの電子光学センサー「LEOSS-T」を搭載し、ミサイルや魚雷、レーザー誘導兵器などの運用能力を有します。

 NATOヘリコプター管理局(NAHEMA)のゼネラルマネージャ、ジョルジオ・ゴマ氏は「新しいセンサーの搭載により、ヘリコプターの任務遂行能力を大きく向上させ、NH90を困難な条件における最先端の艦載対潜・対艦ヘリとしています。この最新仕様はヨーロッパ航空産業の卓越した力を結集させ、将来の海軍型NH90の礎となります」と、ドイツ海軍が導入するNH90 NFHシータイガーを評しています。

 今回発注されたNH90 NFHシータイガーは、2025年の初めにもドイツ海軍に引き渡される見込み。これにより、ドイツ海軍のヘリコプターはNH90シリーズに統一されることになります。

<出典・引用>
ドイツ国防省 ニュースリリース
NHインダストリーズ ニュースリリース
エアバス ニュースリリース
Image:Airbus

(咲村珠樹)