NATOのバルト海防空任務のため、エストニアに展開しているドイツの戦闘機部隊が、イギリス空軍戦闘機を迎え、2020年10月5日~9日の日程で共同訓練を実施しています。同じユーロファイターを運用する飛行隊同士、訓練では息の合ったところを見せているようです。
NATO加盟国で持ち回りとなっている、バルト海での防空任務。2020年9月からは、ドイツ空軍第71戦術航空団「リヒトホーフェン」のユーロファイターが、エストニアのアマリ空軍基地に展開しています。
10月5日~9日の日程で実施されている共同訓練「ハンザティック・ガーディアン」は、イギリス空軍第3飛行隊のユーロファイター2機をアマリ基地に迎え、ドイツ空軍のユーロファイターとスクランブル(Quick Reaction Alert=QRA)の訓練をするものです。
ドイツとイギリスの戦闘機部隊が、NATOバルト海防空任務に関連して共同訓練を始めたのは、2019年5月のこと。前回は2020年7月、ドイツ空軍のユーロファイター2機と支援要員計35名が、イギリス空軍が展開していたリトアニアのシャウレイ空軍基地を訪問して訓練を実施しており、今回で3回目となります。
訓練の目的は、同じユーロファイターを運用している飛行隊同士で、相互運用性を高めること。それぞれの軍で行っている整備や補給の手順を理解し、共同作戦を実施する際の混乱がないようにしていきます。
ドイツ空軍第71戦術航空団で、エストニア展開部隊の指揮官を務めるセバスチャン・フィードラー中佐は「今回の訓練では、ドイツとイギリスの戦闘機が同時にスクランブルする「タンゴ・スクランブル」というものを予定しています。両国の戦闘機は離陸後、最大15分程度の共同作戦行動をとることになります」と、訓練の内容の一部を明らかにしています。
両国での整備手順を理解し、上空で共同作戦飛行を重ねることで、パイロット同士の相互理解だけでなく、イギリスの整備兵がドイツ空軍機を整備したり、その逆も可能となります。英独両国は将来的に、共同してNATO防空任務を実施することを視野に入れているといいます。
フィードラー中佐は「これらの試みによって、同盟は一層深化して相乗効果を発揮し、より効果的になるでしょう」と語っています。次回の共同訓練は2021年、今度はイギリス空軍が土井通君の戦闘機を迎えて実施する予定です。
<出典・引用>
ドイツ空軍 ニュースリリース
NATO連合航空部隊司令部 ニュースリリース
Image:Crown Copyright/NATO
(咲村珠樹)