小さい子をもつ親にとって、公共交通機関を使っての移動は何かと気苦労が多いものです。「子供が泣き出したらどうしよう」「周囲の迷惑にならないようベビーカーは素早く乗り降りさせないと」なんて不安いっぱいのパパやママは少なくないでしょう。
しかも近頃では、一部の親子連れによる悪い例がネットで散々に語られることが増えてしまい、「みんなに迷惑かけて申し訳ない」と、より気持ちが萎縮してしまって「子連れで電車やバスに乗りづらい……」と感じる人も多いと聞きます。
ところが実際はというと?世間はまんざらでもないよ、という場面を、漫画「戦国コミケ」の作者である横山了一さんが1ページ漫画で紹介しています。
横山さんが目撃したというその場面では、電車内のドア付近にいたママ一人、子二人の親子の様子が描かれています。一人は抱っこ、もう一人はベビーカーという姿。
横山さんは「ママ一人で子供二人か 大変そうだなぁ」とこの様子を眺めていたところ、駅に到着するやその親子とは反対側のドアが開いてしまったのです。恐らくこのママさんは、少し混雑した車内だったために、他の乗客の邪魔をせず素早く降りられるよう、降り口側のドア前にあらかじめ立っていたものと思われますが、どうやら降り口側をミスった模様。
慌てるママさん。素早くベビーカーを転回させ、降りようとするも既にドアの前には人が集まっていました。すると……突然割れる人混み。まるでモーゼの海割りがごとくドア付近の人たちがパッとわかれて、ベビーカーが優先的に通れる道を作ってくれたのです。しかも子が落としてしまった哺乳瓶をさっと拾って渡してくれるサラリーマンの姿も。
「最近電車で子連れに冷たい人間が話題になるけど、基本的にはこういう優しい人が大多数だと思う」 横山さんは投稿に、こうコメントを添えていました。
最近電車で子連れに冷たい人間が話題になるけど、基本的にはこういう優しい人が大多数だと思う pic.twitter.com/nJUGLl7KFR
— 横山了一 (@yokoyama_bancho) June 13, 2018
一部の声が大きく拾われてしまうだけで、実際はそんなことばかりではないよという、この場面。筆者も何度か目撃したことがあり、電車とホームとの隙間が広いところで何も言わずにすっとベビーカーの足元を持ち上げてサポートするサラリーマンに、見た目ドヤンキーなのに段差で困っているベビーカーをそっと持ち上げ助けてあげた実は好青年、車内でママが気づかぬうちに顔芸で子を笑わせてくれてる高校生などなど。
こういう光景を目にする度に思うのですが、世間はそこまで殺伐とした不寛容なものではないなと。これからも互いに互いを思いやれる世の中でありたいものですね。
<記事化協力>
横山了一@戦国コミケ二巻発売中(@yokoyama_bancho)
(宮崎美和子)