フリマアプリ「メルカリ」を運営する株式会社メルカリは5月21日、安心・安全な取引環境の実現に向けた新方針を発表した。新方針では、不正利用者の「徹底的な排除」と、正規の利用者に対する「徹底的な救済」を掲げ、これに基づく3つの取り組みを明らかにした。

 同社は、従来の未然防止策に加え、トラブル発生時の迅速な対応や被害補償を強化することで、より安全なマーケットプレイスの構築を目指すとしている。

■ 両軸での対策強化へ

 今回の発表で示されたのは、不正行為の抑止および排除と、被害を受けた正規利用者の保護を両立する新たな体制だ。

【AIによる不正監視の高度化】

 不正利用の多様化・巧妙化に対応するため、AI技術を用いた監視体制を強化する。

 不審な行動をスコア化し、リスクの高いアカウントを検出。対象にはアカウントの利用制限を行うほか、刑事告発や民事訴訟といった法的措置も視野に入れる。

【「メルカリ鑑定センター」を設置】

 2025年9月に、偽ブランド品の流通を防ぐ目的で、「メルカリ鑑定センター」の稼働を予定している。

 鑑定対象商品の範囲を広げ、順次、鑑定義務の導入も検討する。また、鑑定に誤りがあった場合には、同社が商品の買い取りを行う対応も想定している。

【「全額補償サポートプログラム」を導入】

 2025年7月には、新たに「全額補償サポートプログラム」を開始する。

 不正被害に遭った正規利用者に対し、購入代金や販売利益を全額補償する制度で、補償対象や手続き方法を示すガイドラインも公開される予定。被害発生から補償対応までの迅速な処理により、不安の早期解消を図る。

3つの施策

■ 社会的背景と今後の展開

 警察庁によると、2024年の詐欺被害額は約3075億円に上り、認知件数は2020年の約2倍に当たる5万7324件に増加している。メルカリは月間2300万人超の利用者を抱えるプラットフォームとして、こうした社会的課題への対応を強化する責任があると説明する。

 今後は、不正利用の状況や各種対策の効果を定量的に示す「透明性レポート」を2025年8月から定期的に公表する方針。外部機関との連携も進め、取引の信頼性向上を図る。

<参考・引用>
メルカリ:5月21日発表プレスリリース