皆様こんにちは。ミリタリーにおける『食』、特にレーションについてご紹介していくDachoの『ミリヲタ的グルメ』。今回は、スペイン軍エマージェンシー・レーションです。
食事用のレーションではなく、航空機や艦船の乗員が遭難した時に使う特別なレーションです。
●スペイン軍エマージェンシー・レーション
スペイン軍エマージェンシー・レーションは、濃いグリーンのパッケージになっています。
本連載『第3食 スペイン軍コンバットレーション(https://otakuma.net/archives/20100415.html)』でご紹介した一般用のレーションとよく似ていますが、エマージェンシー・レーションの方が濃い色になっています。
パッケージ表面をコンバットレーションと見比べてみると、スペイン国の紋章や3か国語の記述(スペイン語、英語、フランス語)は同じですが、『Campaña』という製造メーカーのロゴらしきものが目新しいです。
パッケージを剥がすと、頑丈な金属の容器が出てきました。蓋は樹脂製で密封できるようになっています。パッケージと同様の文字やマークが浮き彫りになっていて凝ったデザインの蓋ですね。
金属容器の側面にもスペイン国の紋章やメーカーのロゴが印刷されています。
●パッケージ内容
容器には、細かいものがぎっしり詰まっていました。
・インスタントコーヒー 2g×1パック
・砂糖 10g×1パック
・ビスケット 30g×1パック
・インスタントスープ 4g×1パック
・キャンディー 24g×1パック(8粒入り)
・アーモンドミルクチョコレート 30g×1枚
・アーモンドヌガーバー 20g×2個
・乾燥肉バー 9g×3個
・バランス高エネルギーバー チョコレート味 30g×2個
・ビタミンCタブレット(1,000mg) 1.8g×2錠
・水和剤 1g×4錠
・浄水剤 5mg×4錠
・固形燃料タブレット 2錠
・マッチ 1箱(20本入り)
・金属製トング 1個
・説明書 1枚
この一覧からも分かる通り、食事ではなく、救出されるまで体力を保たせる最低限の内容になっています。
説明書によると、1パックで1,050kcalのエネルギー量があり、24時間で使用する想定になっているそうです。
●試食
それでは試食していきましょう。
▼ビスケット
厚めのクラッカーという感じです。味は、普通のクラッカーのようで特に味付けされていませんが、香りがちょっと強いです。変な香りではなく、普通の香ばしいクラッカーの香りなのですが、強すぎてうんざりする感じです。香料でも入っているのでしょうか?
▼乾燥肉バー
見た目は、肉という感じはなく、固形のスープの素みたいに見えます。齧ってみても肉の味も香りもしませんでした……が、強烈な塩味です。塩の塊を食べているような、体に悪そうな味でした。大量に汗をかくことを想定した食べ物でしょうか。
▼バランス高エネルギーバー チョコレート味
若干色合いが違いますが、乾燥肉バーによく似た外見です。これまたチョコレートの味も香りもしませんでした。ただひたすら甘いです。角砂糖でも食べているようです。
▼アーモンドヌガーバー
若干変形していますが、やっとまともに食べられるものがありました。アーモンドの粒を少量のキャラメルで固めてソフトクリームのコーンで挟んだような感じです。ちょっと甘い、普通に食べられるお菓子です!
▼キャンディー
袋から取り出すと、ドロドロな状態でした。どうやらこのレーションは、高温に晒されたようです。包み紙を見ると、ビタミンC入りのレモンキャンディーみたいですが、ブヨブヨだったので食べませんでした。
▼アーモンドミルクチョコレート
これも高温に晒されたせいなのか、ほとんど粉末になっていました。かろうじて形が残っていますが、触れただけで崩れてしまいます。中にはアーモンドの粒が入っていました。
▼ビタミンCタブレット
ちょっと大粒の錠剤です。緊急事態でもやっぱりビタミンCは重要なのでしょうか(笑)
▼コーヒーとスープ
左がインスタントスープで、右がインスタントコーヒーです。スープは、コンソメ味で美味しかったです。
このレーションには、温かい飲み物を作るためのものが揃っています。外側の容器は、金属製トングを取り付ければ鍋になります。浄水剤できれいな水を作り、マッチと固形燃料で沸騰させればお湯の出来上がりです。
鍋は、こんな感じです。
緊急時に生き延びるためのレーションですので、味は二の次のようです。でも、よくあるエマージェンシーレーションは、ブロック状の食料1種類が入っているだけなので、このスペイン軍のものは、色々なものが入っていて面白いですね。
注意してください!!
スペイン軍エマージェンシー・レーションを初めとする各国のレーションは、我々民間人が手に入れて食べることを前提としていません。
これらを販売する業者なども、あくまでコレクション品として取り扱っています。
食品としての安全性は、各国政府、製造業者、販売者の誰も保証してくれませんので、万が一食べる場合は、すべて自己責任になります。
(文・写真:Dacho)