東京の臨海副都心を走る新交通システム「ゆりかもめ」の駅のうち、「船の科学館」駅と「国際展示場正門前」駅の名称が、それぞれ「東京国際クルーズターミナル」駅と「東京ビッグサイト」駅に変更されると株式会社ゆりかもめから告知されていましたが、2019年1月15日に新駅名の使用開始時期が発表されました。
2019年3月16日から、「船の科学館」駅は「東京国際クルーズターミナル」駅に、そして「国際展示場正門前」駅は「東京ビッグサイト」駅へと変更されます。どちらも駅ナンバリングには変更ありません。
株式会社ゆりかもめによると、ゆりかもめの駅名は地域を連想できるように、駅の所在する地域名や施設名を使用することが原則になっているそうです。たとえば、豊洲市場の最寄駅は「市場前」、そしてお台場のフジテレビ本社最寄り駅は、所在する場所(港区台場)をとって「台場」というように。その場所へ行きたい場合に、直感的に降りる駅が分かりやすいように工夫されているのです。
今回の駅名変更で対象になった2駅は、どちらも最寄りの施設名が駅名になったもの。船の科学館と、東京国際展示場(東京ビッグサイト)です。変更の理由はそれぞれ、少し違っています。
船の科学館駅の場合、ここにはまだお台場周辺が「東京港13号埋立地」という名称だった時代の1974(昭和49)年に開館した「船の科学館」という博物館があります。ところが2011年9月をもって本館の展示を休止。現在は初代南極観測船「宗谷」と、収蔵する展示資料の一部を本館に隣接する別館、そして屋外展示場で無料公開するという形になり、博物館としては規模が縮小されています。
これとは別に、船の科学館敷地の沖合に東京都港湾局が新しく岸壁延長430m、地上4階建てのターミナルビルを持つ「東京国際クルーズターミナル」を建設中。オリンピックを控えた東京の海の玄関口として、2020年7月14日にオープンすることになっています。開業第1船として、ロイヤル・カリビアン・インターナショナルが運行する乗客定員4246人(1室2名利用)のクルーズ客船「スペクトラム・オブ・ザ・シーズ」(総トン数16万8666トン・2019年4月就航予定)が接岸する予定。
これからは展示が縮小された「船の科学館」よりも、新しい「東京国際クルーズターミナル」を目的に駅を利用する利用者が増えるだろうという予測から、駅名の変更に至ったようです。
国際展示場正門前駅は、駅から歩行者デッキを歩いていくと、そのまま東京国際展示場(東京ビッグサイト)の正面入り口にアクセスできることから命名されています。しかし現在では、正式名称の東京国際展示場よりも、愛称の「東京ビッグサイト」の方が名前が知られています。こちらは対象となる施設を変更するのではなく、現状で一番親しまれている名称を駅名に採用することで、より「東京ビッグサイトの最寄り駅」ということを利用者にイメージしてもらえるよう、名称変更を行うようです。
2019年3月16日からは、東京ビッグサイトのイベントにゆりかもめで行く時は「東京ビッグサイト」駅で下車、となります。確かに、普段慣れ親しんだ名前になると、すぐイメージしやすくなるかもしれませんね。
情報提供:株式会社ゆりかもめ
(咲村珠樹)