毎年、夏が始まるころからふ化していくウミガメの赤ちゃんたち。保護すべき対象として、日本の各地でもウミガメの産卵場所を守っています。その産卵場所のひとつである、東京都小笠原村の産卵場所で、白変個体のアオウミガメの赤ちゃんが見つかり、話題になっています。

 小笠原村にある小笠原海洋センターでは、ウミガメの調査・保全活動を中心に、毎年ウミガメの産卵を研究し、保全する活動を行っています。

 その様子などはHPのほか、ツイッターでも随時更新されていますが、ある日見つけた、ふ化したばかりのウミガメが他の個体よりも白く、「調査中に出会ったアオウミガメの白変個体。まだおへそが大きいので小さくなるまでしばらく待ちます。とーっても珍しく、こうして生きて出てこれるのは数万頭に1頭ほどしかいません。白い蛇と同じく神様の使いなのでしょうか…?なんだか神々しい…」と、個体の写真とともにツイッターに投稿しています。

 この白変個体のウミガメの赤ちゃんを見た人たちからは、「可愛い」「アルビノ(必要な色素が先天的に欠乏している個体)かな?」といったリプライや、「白いと他の海洋生物には目立って見えるので食べられやすそう」といった声も。

 珍しいウミガメの赤ちゃんについて、小笠原海洋センターに質問をしてみました。

 「白変個体」はアルビノとは違うのだそう。「色素が全くないわけではないため、やや色づいている部分があったり、目が黒かったりなどアルビノとの違いが見られます」とのこと。

 数万頭に1頭、という珍しい白変個体ですが、小笠原海洋センターでもその正確な数は把握できていないのだそう。「小笠原海洋センターのふ化場では、毎年1万5千頭程の稚ガメがふ化します。その中で、生きて生まれてくる白変個体は数年に1頭程度ですので非常に珍しいと考えています。卵の中で死んでしまっている白変個体は年間1~2頭程みられますが、眼が1つしかない等の異変を伴っていることが多いです」と、先天的な遺伝子の異常と思われる個体も存在している様子。

 小笠原海洋センターでは現在3頭の白変個体を保護・飼育しているそうです。その3頭は、「生まれたばかりの頃はいずれも真っ白に近い体色をしていましたが、3頭とも成長するにつれて体の一部や背中の甲羅が茶色に色づいてきました。しかし、他のアオウミガメと比較すると体色は白っぽいです」と、やはり標準的な個体に比べてその色素は薄い様です。

 ちなみに、小笠原海洋センターで飼育されている3頭の白変個体は、それぞれ16歳、9歳、3歳だそう。その亀たちを模したLINEスタンプも作られているのだとか。

 ふ化してこのまま海に入っていけば、子亀を餌とする海洋生物に確実に目を付けられる白変個体。日本各地にあるウミガメの産卵場所で、何頭の白変個体がふ化しているのかは不明ですが、今後、白変個体は白化や遺伝子についてなど研究にも生かされていくと思われます。

<記事化協力>
小笠原海洋センター
ツイッターアカウント:PIP@小笠原海洋センター非公式(@mt_seaturtle)

(梓川みいな)