航空自衛隊も保有する軍用中型輸送機のベストセラーC-130。最新型C-130Jスーパーハーキュリーズの民間型「LM-100J」が2019年11月15日、アメリカの型式証明を取得したと、メーカーのロッキード・マーティンが11月18日(現地時間)に発表しました。
世界各国の軍で使用されているC-130。原型機の初飛行は1954年8月23日と、人間に例えるなら年金を受給できる年齢ですが、使い勝手の良い機体規模と信頼性の高さで現在でも第一線で活躍しています。この65年あまりという生産期間は、軍用機の最長記録として継続中です。
このC-130の最新版がC-130J。エンジンや計器類などを大幅に近代化した型で、2018年末現在で400機以上が17の国で導入されています。
軍用輸送機として誕生したC-130ですが、民間向けモデル(L-100)も存在します。軍用に比べると少ないのですが、同規模の輸送機が存在しないため、極地への物資輸送などで利用されています。
民間向けモデルL-100の生産は1992年、114機で終了したのですが、アメリカのチャーター貨物航空会社、パラス・アビエーションがC-130Jの民間型を発注。新たに「LM-100J」のモデル名で生産が決定しました。
軍用輸送機として定評あるC-130Jでも、民間モデルでは民間航空用の型式証明を受けないと商業飛行に使えません。すでにL-100が生産を終えていたため、再度LM-100Jとしてアメリカ連邦航空局(FAA)の型式証明を取得することになったのです。
ロッキード・マーティンがLM-100Jの型式証明を受ける、と発表したのは2014年。約5年の試験を経て、LM-100JはFAAの型式証明を取得しました。
ロッキード・マーティンで航空輸送部門を統括するロッド・マクリーン副社長は「各国の軍と同じように、民間型のL-100も多くの信頼と実績を積み重ねてきました。そしてその機体の運用寿命がやってくると、オペレーターの皆さんは『L-100の代替はLM-100Jしかない』と言ってくれたのです」と語っています。
LM-100Jのプログラムディレクター、マリロー・フランクリン氏は「今回、我々はすでに信頼性の実証された機体(C-130J)を使って、新しい民間向け輸送機を設計するという珍しい機会に恵まれました。私たちのゴールは先進的で使い勝手が良いだけでなく、安全な輸送機を作ること。これまでのL-100オペレーターやサプライチェーンの皆さん、FAAと――そしてLM-100Jとともに、この作業にあたってきたのです」と、開発過程を振り返っています。
アメリカの型式証明を取得したLM-100Jは、2020年にローンチ・オペレーターであるパラス・アビエーションに、最初の2機が引き渡されることになっています。
<出典・引用>
ロッキード・マーティン プレスリリース
Image:Lockheed Martin/Pallas Aviation/USMC/USAF
(咲村珠樹)