新型コロナウイルス(COVID-19)がさわがれはじめて、ドラッグストアはもとよりコンビニエンスストア(以下、コンビニ)でも、特にここ一か月まずマスクや消毒品を目にする機会がなくなっています。そんなさなか、2月末頃から今度はトイレットペーパー、キッチンペーパー、ティッシュペーパーなどが一気に売り切れる事態に。
筆者はライターであるとともに現役のコンビニ店員です。このため、連日の騒ぎはモロに影響をうけることに……。現場では、色々な問題が発生しています。マスクやペーパー類の売り切れについては既に連日テレビなどでも報道されていますが、折角なのでコンビニ店員の視点から本稿では、今回の騒動にからんだ「コンビニでおきた出来事」を紹介してみます。
■ 納品はとまってません 商品は「あるときはある」「ないときはない」だけ
実際、コンビニにマスクやトイレットペーパーの在庫があるかどうか……欲しい人は気になると思います。納品自体は定期的に来ては居ますが、もともと納品数が非常に少なく、店の規模によりますが、1週間で各10個も来ない状態。
通常であればこれで十分なのですが、このところの騒動により一部商品が異常な売れ方をみせ納品数が追いついていない、というのが現在です。ただし、重ねて書きますが、納品自体はいつもどおり定期的にきていますので、商品は「あるときはある」「ないときはない」というのはご理解ください。
ちなみにその他の、一般商品は全く影響なく基本的には普通に届いて、売れ具合も通常通りです。
■ お客様に声をかけられビクッ 接客が怖くなった店員も……
しかし、店内備品に関しては、店内調理用のマスクや(各店内の在庫はまだ備蓄があるので、調理が出来なくなったという店舗の話は聞かないです)、掃除用アルコールも発注制限がかかってしまっているのが現状です。このため、店舗運営はこれまで以上に、衛生面ふくめて徹底管理することが重要となっています。
お店もそんな風にギリギリの状態なので、怒気を込めた「マスク販売してないの?」「トイレットペーパないのかよ。」というのは店員にとって非常に精神に来ています。お客様に声をかけられビクッとしてしまう店員や、ストレスでイライラしている店員も多くなっている様に感じています。
それだけなら店員を休ませる等をする方法もあるのですが、酷い場合だと下記の様な事が起きたお店も……。筆者の体験+知り合いのコンビニ関係者複数(所属チェーンは異なります)から集めた実話を紹介します。
■ ここ1か月ほどの間に起きたトラブル
▼店内貸し出しトイレの備品窃盗事件
店内貸し出しトイレの備品トイレットペーパー、トイレ掃除用、店内掃除用のアルコールや掃除用の除菌効果のあるスプレーを窃盗していく人が……。これの為、トイレ貸し出しが出来なくなったお店も出ています。
▼納品まで長時間待機
何処からか納品日を調べ、納品が来るのを数時間イートインで待機するお客様も……。これはイートインで食べ物を食べたいお客様にも迷惑になるので、絶対やめて貰いたいですね。
▼未検品のダンボールや折りたたみコンテナを勝手に開封
商品が届くと同時に勝手にダンボールや折りたたみコンテナを開けてレジに持ってくるお客様も……。未検品のものをレジに持ってこられると、在庫が合わなくなり、処理が大変になってしまいます。また、備品用の物を持ってきて「売れ!!」「売れない(だって備品だから)」でトラブルになったり、勝手に持ってきたことにより、検品を待っていたお客様との間で喧嘩になったりもしています。とにかく商品は、検品作業が終わったことを確認してからレジへお持ちください。
▼納品トラックを尾行するお客様
店に納品に訪れたトラックに目をつけたお客様が、納品トラックを尾行して各店舗に納品された商品を各店から購入するという出来事もおきています。こちらは、店にとっては影響は特にないのですが、トラックの運転手さんに非常に迷惑をかける行為なのでやめましょう。ドライブレコーダーにずっと映っていたりと、ばれていますよ?なお、この尾行事件は実は電子煙草が出始めた頃に全く同じ事がおきています。その時聞いた話では、交通事故に発展しかけたという出来事も……。運転手の安全を脅かすだけでなく、お客様自身が怪我をする恐れがあります。絶対にやめてください。
■ こういう時だからこそ落ち着いてマナーを守る事が大切
このような事が、ドラッグストアだけでなくコンビニでも発生しているのです。物がないと慌てるのは筆者達、店員も人間ですから分かります。ですが、こういう時だからこそ落ち着いてマナーを守る事が大切です。騒いでもないものはないのです。寧ろ、お客様がマナーを守ることによって、皆さんに行き渡る様になるのですから。
コンビニは毎日毎日営業しています。利用されるお客様の多くは地域の方々。毎日顔をあわせて挨拶を交わす人から、声こそかけないけれども顔なじみの方までと、地域に密着したちょっと便利なお店としてそこにあります。
それが今のような状況により、普段は菩薩のようなお客様が怒るのを見たり、商品がないことで落ち込まれる顔をみてしまうのは店員側にも心にくることものがあります。今は大変な時だからというのも分かります。でも、ほんのちょっとだけ落ち着いて、そして周りや店員にも心配りとまではいいません。「普通に接して」くださるだけで、今は本当に嬉しいです。
※掲載写真は本稿で触れた店舗とは関係ありません。
(戦魂)