今回の「うちの本棚」は、富野由悠季、長浜忠夫両監督のロボット作品の原点『勇者ライディーン』のコミカライズ版を取り上げます。
蛭田 充により「テレビマガジン」に連載された本作は23年を経て初めて単行本化されたもので、アニメ版とは全く違う主人公のビジュアルが特徴となっています。

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ライディーン/大都社


本書はテレビアニメ『勇者ライディーン』(1975年4月~1976年3月・NET系列放映)のコミカライズ作品である。

当時、『マジンガーZ』『ゲッターロボ』と、永井 豪(ダイナミックプロ)、東映動画によるロボットアニメが人気をはくし、それを追い越すものとして企画されたのが『勇者ライディーン』。結果、ロボットアニメブームが起ることにも繋がっていく。

コミカライズは講談社の「テレビマガジン」で蛭田 充により連載された。
蛭田 充のコミカライズ作品は『デビルマン』でもそうであったように、元となるアニメのキャラクター設定を敢えて無視したようなところが特徴とも言える。本作でもアニメ版の安彦良和によるイケメンキャラであるひびき洸が蛭田オリジナルのキャラに変更されている。とはいえ、美形適役シャーキンをはじめ、その他のキャラはほぼアニメに準じているので、なぜ主人公だけが変更されたのかは謎である。

ストーリーはテレビ放送されたエピソードからピックアップしてコミカライズされており、全体を通してほぼアニメ版のストーリーを楽しむことができる。

アニメ版がかなりの人気を得たにもかかわらず、コミカライズ版は連載が終了したあとも単行本化されることなく月日が流れ、23年を経てから大都社で初めて単行本化された。

書 名/勇者ライディーン
著者名/蛭田 充(原作・鈴木良武)
出版元/大都社
判 型/B6判
定 価/800円
シリーズ名/STAR COMICS
初版発行日/1998年10月1日
収録作品/勇者ライディーン(全14話)

初出:講談社「テレビマガジン」1975年4月号~1976年4月号、1975年夏の増刊号、1976年春の増刊号

(文:猫目ユウ / http://suzukaze-ya.jimdo.com/