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無人標的機もステルスの時代?第5世代標的機のデザイン公開

 ミサイルの評価などに欠かせない無人標的機。実際の戦闘機を改造したものなど、これまで様々な標的機が各国で運用されてきましたが、ついに標的機の世界にもステルスの波がやってきたようです。2018年6月27日、アメリカのシエラ・テクニカル・サービシズ(STS)社は、アメリカ国防総省が6月20日に行った第5世代空中標的機(5th Generation Aerial Target=5GAT)の設計図審査に合格し、技術試験機の製造を受注したと発表しました。

  •  公開された資料によると、第5世代空中標的機(5GAT)は、アメリカの戦闘機や迎撃ミサイルが将来相手にしなくてはいけない、ステルス性を備えた第5世代戦闘機をシミュレートするために開発されるもの。実際の戦闘機に近い大きさで、機体構造の95%は炭素繊維複合材(CFRP)製。アフターバーナーを備えて超音速飛行が可能な双発ジェット機です。

     当然のことながら機体はステルス性を備えており、公開された完成予想図を見ると、機首部分を延長して主翼と水平尾翼を一体化させたF-22ラプターのような機体形状。F-22のような高高度や高速域での機動性を必要としないので、推力偏向ノズルではなく、通常のノズル(レーダー波の乱反射を起こすギザギザ形状)となっています。

     STS社によると、すでに技術試験機の1号機は主翼部分の90%、胴体部分の80%が完成しているとのこと。初飛行は2019年の春を予定しており、そこから26か月間に渡って性能試験が行われる予定です。

     このSTS社は、カリフォルニア州南部、モハーベ砂漠の西にあるテハチャピという人口1万4000人(2010年時点)あまりの町に本社を置く航空系のベンチャー企業。オーナーは女性です。アメリカにはこのような小規模な航空宇宙系企業が数多くあり、政府のコンペを勝ち抜くことがあり、それこそがアメリカの豊かな航空宇宙文化や産業を支えていると言っていいでしょう。

     ステルス機が各国で主力化する前に、先んじてステルス機の無人標的機を用意して迎撃の手法を考える……アメリカは常に先手を打って、これからも優位性を確実にしていくようです。

    Image:Sierra Technical Services, Inc.

    (咲村珠樹)

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