肘の関節から骨がずれてしまう「肘内障」。あまり聞き慣れていないかもしれませんが幼児あるあるのこの症状、「肘が抜けた」と聞くと「あ!」と思い当たる人も結構いるはず。そんな「肘内障」について描いた育児漫画が話題になりました。
肘内障を起こしたのは、ツイッターで育児漫画などを公開している“黒ごま”さんの2歳の娘さん。症状が起こった時の顛末を漫画にしてツイッターで公開しています。
事が起きたのは夜7時。遊んでいた娘さんが突然右肘を押さえて「ここ痛ーい!!」と泣き叫んだそうです。どうやら遊んでいる途中で体勢を崩し、肘をひねった模様。しばらく大泣きしている間、痛みのある部分を10分ほど冷やしたら落ち着いたのか泣き止んだがまだ痛そうな感じ。右手の指しゃぶりの癖もいつものようにしないで腕をだらんと下げているのが気になった黒ごまさんは「#8000」(全国共通番号の子ども医療電話相談)に電話。そこでその時間帯に診察してもらえる整形外科を教えてもらい、タクシーで直行(作中、#8100となっていますが#8000で最寄りの子ども医療電話相談に繋がります)。
整形外科で肘のレントゲンを撮るも特に異常なく、翌日手の専門医に診てらうという事で念のためギプスで固定し帰宅。翌日、手の専門医の診察を受けた時に初めて「肘内障」という言葉を聞かされたのでした。
ギプスを外して手で肘をぐぐっと押すと、ぽこんとはまった感じが。その時の痛みでしばらく泣いていた娘さんでしたが、やがて痛みも治まり右腕も普通に動かす事ができるようになったのでした。
■ 5歳児までがなりやすい「肘内障」
乳幼児の関節を繋いでいる「じん帯」はまだしっかりと発達していない為、肘に急激な引っ張られる力が加えられると結構簡単に骨が肘の関節からずれてしまいます。橈骨(とうこつ)という、肘の外側(親指側)の骨が関節から抜けかけ、脱臼しかけた状態となるのが「肘内障」というものです。一度肘内障になるとじん帯が緩んでしまい、再び脱臼しかけた状態を起こしやすくなります。これがいわゆる「癖になる」という状態。強く手を引っ張ったり腕を振り回して遊んだりしなければ緩んだじん帯も段々元に戻っていきますが、活発な幼児だとなかなかそういう訳にもいかない事が。手を繋いでいる時に急にダッシュされたりすると肘内障を繰り返しやすくなるので注意が必要です。
■ 治し方と治せる人について
肘内障は手で橈骨の位置を元に戻す「徒手整復」で治す事ができ、案外あっけなくはまるものですが、これを行えるのは手の専門の整形外科医や小児科医のほか、柔道整復師の資格を持つ接骨院の先生。行きつけの小児科では治しきれない場合でも接骨院に相談すると受け入れてくれる場合も多くあります。接骨院にかかる時も保険が適用されるので、保険証や小児医療証などは忘れずに持参してくださいね。
■ 実は私も肘内障だった、という人意外と多いです
幼児の場合、肘の他にも肩の関節も外れやすかったりします。肩の場合は「亜脱臼」という、完全には関節が外れていない状態となる事も多く、実は筆者も子供の頃によく肩の関節が外れかけていました。一度やったら癖になったのも同じで、しまいには右手と左手を組んだまま前から後ろや後ろから前へ回したりして遊んでいた事も。小学校上がるころにはできなくなっていたので肩の筋肉やじん帯が成長してしっかりしたのでしょう。黒ごまさんのツイートを見た人からも、「幼稚園に入るころまで数えきれないほどこうなってた」という人や、「漫画のくだりがうちの子供の時と全く一緒」という人も。そして、やはり複数回繰り返している人からの反応が多く寄せられていました。
娘が肘内障(ちゅうないしょう)になった話を書きました。いわゆる「肘が抜ける」というやつです。0~3歳に多いらしいので皆様お気をつけください……!!#育児絵日記 #育児漫画 pic.twitter.com/EcGmz37ejZ
— 黒ごま (@arcturus_08) July 4, 2018
あまりにもしょっちゅう繰り返す子はサポーターを着けたりする事で肘が引っ張られる力を軽減できますが、成長と共に治まってくるので、小学校に入るくらいまでは注意してみてあげるのが良さそうですね。
<引用・参考>
「肘内障」|日本整形外科学会 症状・病気をしらべる
肘内障 — 日本小児外科学会
子ども医療電話相談事業(#8000)について |厚生労働省
<記事化協力>
黒ごまさん(@arcturus_08)
(梓川みいな/正看護師)