オーストラリア陸軍が運用している装軌(キャタピラ)式の装甲兵員輸送車M113を置き換える「LAND 400 フェイズ3」の入札参加登録が、2018年8月24日から開始されました。締め切りは2019年3月1日の午前5時(オーストラリア中部時間)ですが、すでにラインメタルが8月29日に「リンクス(Lynx)KF41」で参加することを表明しています。
リンクスKF41は装軌式(KettenFahzeug)装甲歩兵戦闘車(IFV)リンクスにおける大型仕様。重量38トンのKF31の3(操縦要員)+6人(輸送人員)に対し、2人多い3+8人の輸送能力を持つ44トンの車両です。850kW(1140hp)のディーゼルエンジンをもち、約26hp/トンの重量比で機動力を高めてあります。
ボクサーCRVと同じくラインメタル製WOTAN30mm機関砲(30mm×173)1門を備えた「LANCE」回転式砲塔システムを搭載し、単体での戦闘力も十分。歩兵を降車させた後、戦車と協力しての支援戦闘にも使用できます。また、対戦車ミサイルや電子戦システム、偵察用無人機(UAV)といったオプションも用意されています。
リンクスKF41は、チェコで計画されている新型装甲兵員輸送車調達コンペに2018年4月から参加しており、今回のオーストラリアはそれに続くものです。ラインメタルでは、2015年からドイツ軍で運用されている装甲戦闘車「プーマ」より軽く、エンジン出力も大きいので、リンクスKF41の方が機動力があるとアピールしています。
LAND 400 フェイズ3のこれからの日程は、2019年3月に入札参加登録が締め切られたあと、要求仕様の開示が行われ、2019年の第三四半期から2020年の第三四半期にかけて、機動性など車両の基本性能に関しての試験が行われます。それに続く2020年の第三四半期から2021年第三四半期にかけて、今度は実践に即した状況での実用試験が行われ、最終決定は2022年。2024年から2025年にかけて初度作戦能力を獲得するという予定が組まれています。
Image:Rheinmetall/Commonwealth of Australia
(咲村珠樹)