30代以上から罹患率が増える、女性特有のがん。そのうち30~39歳までのがん全体の中での割合第1位は、今注目されている乳がんです。2016年の全世代の女性のがん死亡率第5位である乳がんは、早期の発見がカギとなる疾患。とにかく早く見つけるにはどうしたら良いか、まとめてみました。

■ 2つの乳がん検診の検査方法とメリット・デメリット

 乳がん検診にはいくつかの方法があります。病医院で受ける事ができる検査として、X線によるマンモグラフィ検査と超音波による乳腺エコー検査の二つが挙げられます。

 マンモグラフィ検査は、2枚の板で乳房を挟み、レントゲンで撮影します。乳房全体の様子が分かる、まだ小さい石灰化されているがんも白く写し出す事ができるなどメリットがある一方、若い人などで乳腺が発達していると乳房全体が白く写し出されてしまう事があり、石灰化している小さながんが分かりにくい事がある、乳房を挟む事による痛みなどのデメリットもあります。

 乳腺エコーは、超音波を乳房に当てて腫瘍がある部分だけを反射させて読み取る事で検査をします。マンモグラフィ検査の様な痛みがない、乳腺は写し出されない為若い女性に向いている、などのメリットがありますが、検査技師や医師が直接みながら検査をしていくために技術にばらつきがありうる、乳房全体像を記録できない、検査時間がマンモグラフィ検査よりも長いなどデメリットもあり、費用対効果の明確なデータもまだ乏しい事から、国としてはこの検査をメインとして推奨していません。

■ 検診を受ける利益と不利益

 女性がかかる全てのがんの中でも22%を占める乳がん、発症のピークは40代以上でがん検診でも40代以上の決められた年代に検診無料クーポンが発行されています。国で乳がん検診無料クーポンが配布されるのは40歳、45歳、50歳、55歳、60歳までの5歳刻みとなっていますが、40歳以上では2年に1度は検診を受けた方が望ましいとされています。

■ 40代以下を乳がんから守る“自己検診”

 乳がん自体は30代を過ぎると発症率がぐんと上がります。しかし、無料クーポンは40歳から。若い人でも発症する様子を見ている人にとっては不安材料は少しでも減らしておきたいと思うかもしれません。SNSでも検診を受ける是非や早期発見した人の話題も上がっていますが、一番は普段から自分の乳房の状態に関心を持つ事。自己検診を行い、少しでも異変を感じた時に受診する事が大事です。

 自己検診は、生理が終わった日の3~5日後に行うのがベスト。生理前は乳房が張って自己触診がきちんとできないので生理の後がベストです。方法としては、

・鏡の前でバンザイをし、皮膚にえくぼの様なくぼみがないか確認。もし凹んでいるかも?と思ったらその部分を触ってみる。その部分に硬い粒の様なものが感じられたら何らかの病変の可能性があります。

・仰向けに寝て片腕を上げ、もう片方の手で乳房を触診。やり方は、乳頭を起点に渦巻きを描くように人差し指・中指・薬指の3本で押していく。アンダーバストまで終わったら、今度は腋の下から内側へ向けて指3本で押していき、胸の端までたどり着いたら一段下がって同じ様に押していく。これを左右両胸に行う。

・毎月1回、日を決めて行うなど普段から気に掛けておくと、普段と違う異変に気が付きやすくなります。

 もし、この方法で米粒くらいでもしこりがあるなど異変に気が付いたら、なるべく早めに「乳腺外来」「乳腺外科」などを開設している病医院に受診してください。特に身内に乳がんを患っている人は、遺伝的に乳がんにかかりやすい事も知られているので、特に自己検診で小さな異変を見つけておけるようにする事が望ましいです。

<参考>
国立がん研究センターがん対策情報センターがん情報サービス 乳がん
自己検診 | 乳がんの情報サイト「乳がん.jp」
他多数

(梓川みいな/正看護師)