2018年9月16日(日本時間9月17日午前)、アメリカのカリフォルニア州にある民間宇宙開発企業、スペースXの本社において、ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営する株式会社スタートトゥデイの前澤友作社長が、スペースXの民間人初の月周回飛行計画「Lunar BFR」ミッションにおける最初の乗客として宇宙船に搭乗することが発表されました。あわせて前澤さんより、自身と最大8名のアーティストが宇宙船に乗り、月周回飛行を通じて得たインスピレーションをもとに作品を制作してもらうプロジェクト「#dearMoon」の始動も発表されています。
現在国際宇宙ステーション(ISS)への補給船「ドラゴン」の打ち上げに使用されているファルコン9ロケットをはるかにしのぐ全高118m、直径9m(いずれも計画値)という、破格の大きさを持つ再使用型ロケット「BFR(Big Falcon Rocket)」によって打ち上げられる全長48m(計画値)の宇宙船によって行われる月周回飛行「Lunar BFR」ミッション。宇宙船の大きさはスペースシャトル(オービタ全長37.24m)より大きく、旅客機でいえばB767-200と同じくらいです。居住区画の容積は国際宇宙ステーションの約3倍となる1000立方メートル。史上最大の有人宇宙船です。
この宇宙船に乗って月周回飛行(着陸はせず、月と地球を往復する飛行)を行う前澤さんは、月が古くから人類の芸術作品に多大なインスピレーションを与えてきたことを踏まえ、自身とともに民間人初の月旅行者として最大8名のアーティストに宇宙船に搭乗してもらい、その体験をもとに新たな芸術作品を世に送り出して欲しいとしています。これまでにも芸術文化を「人と人を繋ぎ、人を笑顔にし、人に生きる力や考えるきっかけを与えてくれるもの」と考えてきた前澤さん。今回民間人初の月旅行の権利を獲得したことで、その経験を自分だけでなく多くの人に広める存在として、アーティストに同乗してもらい、その作品を人類の財産として後世に残そうと、このプロジェクト「#dearMoon」を開始することにしたそうです。
前澤さんからは、以下のようなコメントが届いています。
パブロ・ピカソが月を間近に見ていたら、どんな絵を描いたんだろう。
ジョン・レノンが地球を丸く見ていたら、どんな曲を書いたんだろう。
彼らが宇宙に行っていたら、今の世界はどうなっていたんだろう。私たちには、想像力と創造力があります。
まだ一度も見たことのないような夢を見ることができるかもしれない。
歌ったことのないような歌が歌えるかもしれない。
描いたことのないような絵が描けるかもしれない。このプロジェクトが皆さまの夢を拡げるきっかけになることを願っています。
地球を代表するアーティストと共に、皆さまより少しだけお先に月に行ってきます。
#dearMoon ホスト・キュレーターとして、このようなチャンスに恵まれたことを大変誇りに思います。
BFR での月周回飛行プログラムを提供くださるイーロン・マスクさんと SpaceX 社の皆さま、 そしていつも僕を支えてくださる全ての関係者の皆さま、本当にありがとうございます。
このプロジェクト必ず成功させます。
楽しみにしていてください!
史上最多となる31基ものメタン/液体酸素ロケットエンジンを同時に使用(打ち上げに失敗した旧ソ連の月ロケットN-1は30基のケロシン/液体酸素エンジンを同時に使用)し、史上最大の宇宙船を打ち上げるなど、様々な技術的チャレンジもある超大型ロケットBFR。すでに2018年3月には試作機の建造も始まっており、スペースXでは2023年の打ち上げを予定しています。
また、前澤さんによる「#dearMoon」プロジェクトについては、これから公式サイトや公式Twitterアカウント(@dearmoonproject)、公式インスタグラム(@dearmoonproject)で最新情報が公開される予定となっています。はたして月に行くアーティストは誰になるのか、そして宇宙から地球や月をみて、どのような作品が生み出されるのか、注目です。
情報提供:株式会社スペーストゥデイ
(咲村珠樹)