10月13日はアメリカ海軍の創設記念日(Navy Birthday)。1775年に設立が承認されて、2018年で243回目の誕生日を迎えたことになります。今年も世界各地の海軍艦艇、海軍施設で「海軍の誕生日」を祝うパーティーが開催され、様々なバースデーケーキが登場しました。
1775年10月13日の大陸会議で設立が承認されたアメリカ海軍。1794年に建造が承認された最初の海軍艦艇(帆走フリゲート)6隻のうちの1隻が、現在も就役中の「オールド・アイアンサイズ(Old Ironsides)」ことコンスティテューション。普段は建造の地であるボストンで記念艦として公開されていますが、いつでも外洋に出て航行できるように整備されています。
海軍に限らず、アメリカ軍の記念日ケーキは、大勢の人が一緒に食べるものとして位置付けられており、切り分けがしやすいよう、薄く焼いたスポンジとクリームを重ね、アイシング(フロスティング)やマジパンでデコレーションした長方形のものが一般的。今回の海軍バースデーケーキの場合は、海軍の紋章や海軍を象徴する色である青(ネイビーブルー)と金(黄)を使ったものが多くみられました。
空母ニミッツ(CVN-68)の場合、祝賀ケーキの盛り付け用にニミッツの船体をかたどったケーキ台が用意されており、飛行甲板の形にケーキを成形して載せる仕組みになっています。
珍しく、ウエディングケーキのように丸いケーキを重ねた立体的なケーキを作ったのは、メリーランド州フレデリックにある海軍医療輸送コマンド。ケーキ側面に紋章のほか、金色の錨の装飾を取り付け、さらに星条旗を被せたような凝ったデコレーションをしていました。
ケーキカットのセレモニーも海軍伝統の様式があります。ケーキをカットするのはナイフではなく、サーベル。そしてそこでの最古参と最年少がサーベルを持ち、共同作業でカットします。これは世代から世代へ海軍の伝統を継承する、という意味が込められたもの。艦艇の場合は、最古参として艦長がケーキカットを務めることが多くなります。新兵教育コマンドでは、その時の最年少入隊者が最年少役となります。おそらくここが、海軍で一番の最年少ということになるでしょうね。
ケーキカットに続く「最初の一切れ(First piece of cake)」は、最年少者から最古参へ、最古参から最年少者へ贈るのも海軍の伝統。ケーキは世代を超えて受け継がれる伝統も象徴する存在なのです。
このセレモニーが終わるとパーティーの始まり。ケーキを作った調理兵がケーキを切り分け、出席者に配ります。
時にはホストとして、艦長自ら乗組員にサーブすることも。ドック型揚陸艦ニューヨーク(LPD-21)では、デヴォア艦長が乗組員にケーキを一切れずつ渡します。
このパーティーには、もう一つ海軍の伝統があります。それは、日本でいう「陰膳」のように、戦時捕虜や作戦中に行方不明となり、この場に出席できない人のための席が設けられること。最初にその人たちへの献杯も行われます。
お祝い事のケーキは、みんなで切り分けて食べることで、仲間としての結束を図る役割も果たしているのです。
Image:U.S.Navy
(咲村珠樹)