過酷な任務をこなす軍の将兵にとって、その士気を高めるのは何といっても食事です。栄養だけでなく、味も見た目もいい食事は充実した気持ちにさせてくれるもの。アメリカ軍では調理を担当する兵士「ミリタリー・シェフ」の技量と仕事に対するモチベーションを高める目的で、定期的な料理コンテストを開催しています。ノースカロライナ州にあるアメリカ海兵隊チェリーポイント航空基地では、3か月(四半期)ごとのナンバーワン調理兵を決める恒例の料理コンテスト「シェフ・オブ・ザ・クォーター」コンペティションが2019年6月7日に行われました。

 1941年に開設されたチェリーポイント海兵隊航空基地は、第2海兵航空団(2nd MAW)が司令部を置くところ。大西洋方面に兵力を派遣する、第2海兵遠征軍の航空部門を統括する基地です。ここの司令部および司令部中隊に勤務する調理兵(フード・スペシャリスト)によって争われる、3か月に一度の「シェフ・オブ・ザ・クォーター」コンペティション。6月7日に開催された回にエントリーしたのは、ケビン・スミス上等兵、ジョナサン・トーレス上等兵、そしてカーター・ハーディー2世上等兵の3名です。

 3名の調理兵は、それぞれに工夫を凝らしたコースメニューを考え、日頃の任務で培った調理技術を発揮して料理を作っていきます。もちろん兵士たちの必要摂取カロリーを考え、栄養のバランスにも気を配らなくてはならないのが、このコンペティションの重要なところ。



 出来上がった料理は、審査する基地の幹部に提供されます。外部からの賓客を接遇することもあるため、料理を提供する際の立ち居振る舞いも審査の対象。また、料理それぞれについてのプレゼンテーションも行われます。

 審査員の中には、同じチェリーポイント基地の別部隊に勤務する調理責任者の姿も。いわば同業者だけに、ちょっと評価は厳しめかもしれませんね。審査する側も普段の食事とは違い、色々な面について評価し、それを審査用紙に書き込まなければいけないので緊張感のある表情を見せます。

 厳正なる審査が行われ、結果発表。勝者が告げられる瞬間を参加した3名の調理兵はうつむきながら、神妙な面持ちで待ちます。

 今回、第2海兵航空団司令部および司令部中隊の「シェフ・オブ・ザ・クォーター」に輝いたのは、カーター・ハーディー2世上等兵。記念のトロフィがマリー・アン・ブロンザ2等准尉からハーディー上等兵に手渡されました。

 年に4回、3か月ごとに開催される「シェフ・オブ・ザ・クォーター」の勝者は、その年の終わりに開催される年間ナンバーワンを決定する「シェフ・オブ・ザ・イヤー」への出場権が与えられます。年に一度ではなく、3か月に一度という頻度で行われるため、調理兵たちは次のコンペに向けてモチベーションを保ちやすくなり、結果として日々将兵に提供される食事のクオリティも向上していくことになります。より良い食事環境を作る、アメリカ軍の考え方が分かるイベントだといえるでしょう。

<出典・引用>
アメリカ海兵隊 プレスリリース
Image:USMC

(咲村珠樹)