ロッキード・マーティンは2019年8月5日(現地時間)、アメリカ陸軍から砲撃探知レーダーQ-53の追加発注を受けたと発表しました。Q-53は相手の攻撃を着弾前にいち早く察知するだけでなく、無人機(ドローン)の探知にも使えるため、重要性が増しています。
砲撃探知レーダーAN/TPQ-53は、砲兵部隊に配備される老朽化した中距離レーダーAN/TPQ-36とAN/TPQ-37の後継として採用されたもの。効率の良い窒化ガリウム(GaN)素子を使用したアクティブ走査式フェイズドアレイ(AESA)レーダーです。
本来は相手の火砲の発射や、飛来する砲弾の弾道を探知するために設計されたものですが、現在では相手方の偵察・攻撃用無人機(ドローン)を探知する、対無人機システム(CUAS)の中核を担うレーダーでもあります。現代では目標地点の偵察や、火砲の弾着観測のために無人航空機(ドローン/UAV)が使われるケースもあり、いち早くそれらの脅威を探知することは、友軍の防衛にとって重要なものとなります。
ロッキード・マーティンのQ-53プログラム責任者、リック・ヘロデス氏は「私たちは兵士たちが新しく、信頼の置ける能力を求めていることを知っています。Q-53は現在、そしてこれから起こるであろう脅威に対しての近道です。Q-53の柔軟なアーキテクチャーは、本来の用途だけでなく、将来のアップグレードにも広く対応することが可能です」と、Q-53の特長についてコメントしています。
本来は砲撃の脅威から部隊を守るために開発されたQ-53ですが、さらにその前の段階である無人偵察機の探知も行えることで、より部隊を攻撃の危険から遠ざけることができます。砲兵部隊の目として、Q-53の重要性は今後増していくことになりそうです。
<出典・引用>
ロッキード・マーティン プレスリリース
Image:Lockheed Martin/U.S.Army
(咲村珠樹)