ポーランド中部の都市キェルツェで2019年9月3日(現地時間)に開幕した国際防衛産業展(MSPO)で、ポーランドのマリウシュ・ブワシュチャク国防大臣は、陸軍の新型歩兵戦闘車として国産のボルシュク(Borsuk)導入を発表。そのプロトタイプが初公開されました。

 旧ワルシャワ条約機構加盟国だったポーランドは、これまで旧ソ連の歩兵戦闘車BMP-1をベースにしたBWP-1を運用してきました。近代的歩兵戦闘車の元祖ともいえるBMP-1ですが、設計が1960年代と古く、ポーランド国内で独自に近代化改修も行われてきたものの、全体的に老朽化と能力の陳腐化が進んでいました。

 民主化以降、ワルシャワ条約機構を脱退し、NATOへの加盟を果たしたポーランド。現在は、老朽化している旧ソ連をはじめ“東側”の防衛装備品を西側諸国のものに更新しつつ、戦力の近代化を図っています。新しい歩兵戦闘車ボルシュク(ポーランド語で「アナグマ」の意)は、陸上戦力近代化プログラムの一環で開発されました。

 ポーランドの防衛企業グループPGZによって開発されたボルシュクは、武装した歩兵を内部に乗せて輸送するとともに、歩兵の降車後は火力支援を行う装軌装甲車。ポーランドのHSWが開発した上部の無人回転式砲塔ZSSW-30には、オートメラーラ製30mm機関砲と、イスラエル製SPIKE対戦車ミサイルを装備しています。

 また、限定的な水上航行能力もあり、単独での渡河能力も有しています。履帯がゴム製(金属芯入り)なのも特徴です。

 ボルシュク歩兵戦闘車が初公開されたMSPO初日の会場では、ポーランドPGZとポーランド軍の間で、新しいRAK自走砲、ROSOMAK装輪装甲車などの防衛装備品を調達する、大型契約の調印式も行われています。

 ブワシュチャク国防大臣はこのほか、アメリカ軍のポーランド駐留に触れ、アメリカ軍の存在がポーランドだけでなく、地域の平和と安定に大きく寄与することを強調。合わせてFGM-148ジャベリン対戦車ミサイル(発射指揮装置60基、ミサイル180発)や、5機のC-130H輸送機の調達についても明らかにしています。

 旧来の装備品から西側諸国の装備品に切り替え、戦力の近代化を目指すポーランド軍。国内開発も同時に進めることで、技術力向上も進んでいます。

<出典・引用>
ポーランド国防省 プレスリリース
PGZ プレスリリース
HSW プレスリリース
Image:ポーランド国防省/HSW