おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

アメリカ海兵隊が新型装甲偵察車両を構想中 2020年代後半からの導入を目指す

 アメリカ海兵隊は1980年代から運用している偵察用の軽装甲車(LAV)ファミリーを更新するべく、新世代の装甲偵察車両の検討に入っています。海兵隊システムコマンド(MCSC)によると、現用のLAVが耐用年数を迎える2030年代半ばまでには更新を完了したいとのことで、それ以前となる2020年代後半から新型の導入を始めたいとしています。

  •  アメリカ海兵隊が現在運用している軽装甲車(LAV)は、スイスのMOWAG(現:ゼネラル・ダイナミクス・ヨーロピアン・ランド・システムズ)が開発した8輪装甲車「ピラーニャ(PIRANHA)」をベースにしたもの。基本は兵員輸送車(乗員を除いた輸送人員6名)ですが、これをプラットフォームにした偵察車や、対戦車誘導弾を装備した車両など、様々な派生モデルが作られています。



     水陸両用車であり、単独での渡河能力も持ち合わせています。ただし、同じ水陸両用の兵員輸送車両であるAAV7と違って凌波性は低く、波のない静水面での移動に限られます。海兵隊では、M242ブッシュマスター25mm機関砲を装備した回転式砲塔を持つ形態が標準仕様です。

     この後継車両となる装甲偵察車両(ARV)に求められているのは、偵察任務に必要な高いセンサー能力に、自身を防御するためのシステム、そして後方の部隊と連携するための高いネットワーク能力。海兵隊システムコマンド(MCSC)でLAV計画のプログラムマネージャを務めるジョン・マイヤーズ氏は「ARVは先進的な戦闘車両システムとなる予定です。戦闘のために必要な情報収集能力として、センサー類の性能、防衛や威力偵察に必要な射撃能力、機動性、そして通信能力のバランスが求められます」と語ります。

     現行のLAVを置き換える計画は、2016年6月に立案されました。初期計画が承認され、2020年代後半から新型の装甲偵察車両を導入開始し、現行のLAVが耐用年数を迎える2030年代半ばには置き換えを完了する予定です。

     LAVの副プログラムマネージャを務めるキンバリー・ボーウェン氏は「海兵隊はそれぞれ異なった脅威に直面しています。ARVはそれに対する助けとなり、“ピア・トゥ・ピア”の能力を拡大してくれるものとなります」と、海兵隊の任務における次期装甲偵察車両(RAV)の位置付けについて説明しています。

     海軍調査局は、この次期装甲偵察車両(RAV)に必要な要求項目策定のための調査を始めており、それをもとに競争試作をメーカーに依頼する予定。現在のところ、2019年5月には要求項目をメーカーに提示し、競争試作を開始するというスケジュールになっています。海兵隊によると、構成要素の開発判断を2020年までには行いたいとしています。

    Image:USMC

    (咲村珠樹)

    あわせて読みたい関連記事
  • メキシコ料理店「マイクス」で人気のタコサラダに入ったモントレーファヒータ
    宇宙・航空

    アメリカ軍人に人気のメキシコ料理店「マイクス」に行ってきた

  • 衛星通信アンテナを展開するアメリカ海兵隊員(画像:USMC)
    宇宙・航空

    アメリカ国防総省 極超音速兵器を探知する人工衛星網構築計画を明らかに

  • 発射される迎撃ミサイル(Image:アメリカミサイル防衛局)
    宇宙・航空

    アメリカ弾道ミサイル防衛システム「3段目を使わない」迎撃ミサイル試験に成功

  • 記者会見するブリンケン国務長官(左)ストルテンベルグNATO事務総長(中)オースティン国防長官(右)(Image:NATO)
    宇宙・航空

    アメリカ軍とNATO軍 アフガニスタンからの撤退を正式決定

  • 対中タスクフォース設立を発表するバイデン大統領(Image:ホワイトハウス)
    宇宙・航空

    バイデン大統領 国防総省内に対中国タスクフォース設置を発表

  • 空中発進式戦闘ドローン「LongShot」のコンセプトイラスト(Image:Northrop Grumman)
    宇宙・航空

    アメリカ軍 空中発進式戦闘ドローン「ロングショット」開発計画発表

  • 連邦議会で警備にあたる州兵(Image:U.S.National Guard)
    宇宙・航空

    大統領就任式警備の州兵「不適切なコメントや文章」などで12名が任務から除外

  • 宇宙・航空

    軍隊・自衛隊のチャレンジコインは連帯の証

  • 宇宙・航空

    アメリカの州兵が感謝祭恒例「幸せのおすそ分け」活動を実施

  • 宇宙・航空

    ロシアがリビアで軍事活動活発化 傘下の民間軍事会社を活用

  • おたくま編集部Editor

    記事一覧

    おたくま経済新聞・編集部による監修or執筆

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • 松浦勝人会長「月1時間で100万円」“松浦顧問制度”始動 応募殺到で定員の5倍超え
    エンタメ, 芸能人

    松浦勝人会長「月1時間で100万円」“松浦顧問制度”始動 応募殺到で定員の5倍超…

  • 「金曜ロードショー」40周年
    エンタメ, 映画

    金曜ロードショー、40周年を記念した豪華2時間SP 国民が選ぶ名場面集

  • 新商品「クリスピーピザポテト チーズチーズチーズ」
    商品・物販, 経済

    ピザポテトが進化!チーズ2倍「クリスピーピザポテト」期間限定で発売

  • 魔改造カップヌードル
    商品・物販, 経済

    日清食品「魔改造カップヌードル」4品を新発売 定番フレーバーを背徳アレンジ

  • 企業と株主対立を“見える化” ストラテジックキャピタル、ガンホー批判サイト公開
    社会, 経済

    企業と株主対立を“見える化” ストラテジックキャピタル、ガンホー批判サイト公開

  • 無料クーポンリレー
    イベント・キャンペーン, 経済

    ファミリーマート、ファミペイ新規登録者向け「無料クーポンリレー」開始へ

  • トピックス

    1. 丼にサンマが丸ごと横たわる衝撃 牛角の「秋刀魚ラーメン」実食レポ

      丼にサンマが丸ごと横たわる衝撃 牛角の「秋刀魚ラーメン」実食レポ

      焼き肉チェーンの牛角は9月4日より、サンマを丸ごと一尾のせた「牛角流秋刀魚ラーメン」を販売しています…
    2. 伝説のカンフー映画「酔拳」吹替版、YouTubeで1か月限定無料配信

      伝説のカンフー映画「酔拳」吹替版、YouTubeで1か月限定無料配信

      ジャッキー・チェン主演の名作アクション映画「酔拳(吹替版)」が、Prime Videoの「シネフィル…
    3. 小学生の耳からシャーペン消しゴム 耳鼻科で無事摘出

      小学生の耳からシャーペン消しゴム 耳鼻科で無事摘出

      小学6年生の男児が耳の痛みを訴え受診したところ、耳の奥からシャープペンシルの消しゴムが摘出されました…

    編集部おすすめ

    1. 松浦勝人会長「月1時間で100万円」“松浦顧問制度”始動 応募殺到で定員の5倍超え

      松浦勝人会長「月1時間で100万円」“松浦顧問制度”始動 応募殺到で定員の5倍超え

      エイベックスの松浦勝人会長は9月4日、自身のX(旧Twitter)で新たに「松浦顧問制度 シーズン1」を立ち上げたことを報告した。内容は「月…
    2. 「なんかやってる」4羽の文鳥 まるで連続写真?

      「なんかやってる」4羽の文鳥 まるで連続写真?

      「なんかやってる……」Xで飼い主さんにこうつぶやかれたのは、4羽の白文鳥さんたち。添えられた写真には、4羽が棚の上に連なって集まり、まるで連…
    3. 法事でオリジナルTシャツ!?音楽フェスのような斬新な引き出物が話題

      法事で配られた家紋&没年入りTシャツが話題 “フェス感”漂うセンスに爆笑

      法事の引き出物(お返し)といえばお菓子やカタログギフトが王道ではないでしょうか。しかしときには予想だにしない品をもらうこともあるようで……。…
    4. 災害関連死ゼロを目指す「EDAN」発足 フィリップ モリスら民間団体が連携

      災害関連死ゼロを目指す「EDAN」発足 フィリップ モリスら民間団体が連携

      フィリップ モリス ジャパン(PMJ)が、全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)と共同で、避難生活に特化した支援ネットワーク…
    5. 「週刊文春」2025年9月4日号(8月28日発売)

      週刊文春、最新号表紙は「白紙」 48年続いた和田誠さんの表紙絵に幕

      総合週刊誌「週刊文春」は、2025年8月28日発売の9月4日号で48年間にわたり表紙を飾り続けたイラストレーター・和田誠さんの絵を終了し、大…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト