おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

ポーランドの新型哨戒艦シュラザック 海軍創設101年の記念日に就役

 ポーランド海軍の新しい哨戒艦シュラザック(241)が、2019年11月28日(現地時間)に就役。海軍本部のあるグディニャでマリウシュ・ブワシュチャク国防大臣出席のもと記念式典が行われました。この日はポーランドの近代海軍創設101周年の記念日にあたります。

  •  哨戒艦シュラザックは、ドイツのブローム・ウント・フォス(B+V)が開発したMEKO A-100型フリゲートをベースにした沿海域哨戒艦。全長95.2m、全幅13.5m、基準排水量1800トン(満載時2150トン)という、比較的コンパクトな艦です。

     2001年11月28日にガウロン級コルベットの1番艦として、グディニャのポーランド海軍工廠で起工されましたが、任務の多様化からもっと大きなサイズの艦を必要とするポーランド政府の方針転換により、合計7隻建造予定だった同級は起工されたこの1隻を除いて建造計画がキャンセル。同時に艦種もコルベットから哨戒艦に変更され、2015年6月2日に「シュラザック」として進水しました。


     就役式典では、音楽隊の先導により、乗組員が行進。整列の後、ブワシュチャク国防大臣の巡閲を受けました。


     式典でブワシュチャク国防大臣は「私たちの祖国の安全を守ってくれていることに感謝します。NATOでは、勇気、寛大、献身という面でポーランドのシーマンシップが知られています。NATOでの任務を通じて、全ての同盟国は皆さんへの信頼を常に認めています」と日頃の働きに感謝の意を表しました。

     また、海軍の近代化に関しては、時間と予算がかかることを改めて明らかにし、さらに駆逐艦や搭載ヘリコプターを調達することについても言及。ポーランド国内での生産が実現する点を挙げ、国内の防衛産業の安定にもつながることを強調しています。

     司祭の祝福を受けた軍艦旗が、ブワシュチャク国防大臣の手から艦長に引き渡されます。号令とともに乗組員はシュラザックに乗艦し、艦尾に軍艦旗が掲揚されました。名実ともにポーランド海軍の艦船となったことを象徴する瞬間です。




     沿海域での哨戒活動を目的としているシュラザックは、強力な武装と戦闘指揮システムを有しています。前部甲板には主砲として単装オートメラーラ76mm速射砲塔、そして両舷にも単装オートメラーラ30mm機関砲塔がそれぞれ設けられ、タレス製Sting-EO Mk2火器管制レーダー、MIRADOR光学照準システムなどからなるTacticos戦闘指揮システムでコントロールされます。

     また、アメリカをはじめとするNATO加盟国で標準採用されている戦術データリンク「Link-11/16」に対応。他の艦艇や航空機などと連携して戦闘が可能です。


     シュラザックは今後ポーランド海軍の第3艦隊に配属され、バルト海をはじめとする海域の通商保護といった警備活動のほか、テロとの戦いや海賊対処任務にも従事。そして災害救援など国際協調の人道支援活動にも投入される見込みとなっています。

    <出典・引用>
    ポーランド国防省 プレスリリース
    Image:ポーランド国防省

    (咲村珠樹)

    あわせて読みたい関連記事
  • ポーランドの首都ワルシャワに集まった「ブカレスト9」の首脳とアメリカのバイデン大統領、NATOのすとるテンベルグ事務総長(画像:NATO)
    宇宙・航空

    ウクライナ支援で存在感を増すヨーロッパ9か国「ブカレスト9」とは?

  • まぼろしの戦艦大和カレイ
    商品・物販, 経済

    海軍さんの料亭・五月荘から「まぼろしの戦艦大和カレイ」が登場 海軍料理研究家とと…

  • 食器含め総重量約35kgの「巨大空母プレート ぐるかんロナルド・レーガン(税込3万2750円:要予約)」
    企業・サービス, 経済

    約35kgの巨大空母プレートが目玉 横須賀3大グルメが味わえる「よこすかグルメ艦…

  • 宇宙・航空

    オランダとベルギーが新型汎用フリゲートを建造 2028年就役予定

  • 宇宙・航空

    アメリカ太平洋艦隊に新たな沿海域戦闘艦カンザスシティ就役

  • 宇宙・航空

    5月予定のアメリカ・ポーランド共同訓練 内容修正の上6月に実施決定

  • 宇宙・航空

    ポーランド軍 医師不足に苦しむアメリカに軍医チームを派遣

  • 宇宙・航空

    いざという時即参上!NATO高度即応統合任務部隊にポーランド軍着任

  • 宇宙・航空

    ポーランド陸軍 国産の新型歩兵戦闘車ボルシュクを導入

  • 宇宙・航空

    スウェーデンのゴトランド級潜水艦2番艦ウップランド 近代化改修を完了

  • おたくま編集部Editor

    記事一覧

    おたくま経済新聞・編集部による監修or執筆

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • YouTube、永久停止クリエイターに「再出発の機会」 新チャンネル申請を可能にする試験導入を発表
    インターネット, サービス・テクノロジー

    YouTube、永久停止クリエイターに「再出発の機会」 新チャンネル申請を可能に…

  • 南インド伝統のチキンカレー「ケララチキンカレー」
    商品・物販, 経済

    松のやが南インド伝統の味を再現 「ケララチキンカレー」新発売

  • 毛玉とるとる Pro(KC-NW825)
    商品・物販, 経済

    ストッキングやタイツも可の毛玉取り器誕生 マクセルイズミ「毛玉とるとる Pro」…

  • キヤノンの名機が「ガシャポン」で復活 歴代カメラ5種を精密ミニチュア化
    商品・物販, 経済

    キヤノンの名機が「ガシャポン」で復活 歴代カメラ5種を精密ミニチュア化

  • 時事通信、男性カメラマンを厳重注意 生配信中に「支持率下げてやる」発言
    社会, 経済

    時事通信、男性カメラマンを厳重注意 生配信中に「支持率下げてやる」発言

  • ゴロっとチキンのカレーナポ
    商品・物販, 経済

    パンチョ初の人気投票1位「カレーナポ」が進化 期間限定で復刻登場

  • トピックス

    1. 藝大卒の声楽家が1時間1000円で自分を貸し出す理由 フリー芸術家ならではの戦略

      藝大卒の声楽家が1時間1000円で自分を貸し出す理由 フリー芸術家ならではの戦略

      プロの声楽家として活動する傍ら、1時間1000円から自分の時間を「レンタル」している男性。キャリア豊…
    2. ドムドムが“カニまるごと”の衝撃バーガーを再販 新作コチュジャン味を食べてみた

      ドムドムが“カニまるごと”の衝撃バーガーを再販 新作コチュジャン味を食べてみた

      ドムドムハンバーガーは10月14日に、カニを丸ごと挟んだ「丸ごと!!カニバーガー」を販売開始しました…
    3. 丸山製麺が「ラーメン大好き小泉さん」とコラボ!小麦麺使用の新感覚「らーめん缶」を実食

      丸山製麺が「ラーメン大好き小泉さん」とコラボ!小麦麺使用の新感覚「らーめん缶」を実食

      丸山製麺が10月6日から、人気ラーメン漫画「ラーメン大好き小泉さん」とコラボした「らーめん缶」を、東…

    編集部おすすめ

    1. 毛玉とるとる Pro(KC-NW825)

      ストッキングやタイツも可の毛玉取り器誕生 マクセルイズミ「毛玉とるとる Pro」を発売

      マクセルイズミ株式会社は、ストッキングやタイツなどの繊細な衣類にも対応する毛玉取り器の新モデル、「毛玉とるとる Pro(KC-NW825)」…
    2. キヤノンの名機が「ガシャポン」で復活 歴代カメラ5種を精密ミニチュア化

      キヤノンの名機が「ガシャポン」で復活 歴代カメラ5種を精密ミニチュア化

      キヤノンが、バンダイの「ガシャポン」とコラボレーション。歴代のカメラとレンズをミニチュア化した「Canon ミニチュアカメラコレクション」を…
    3. 時事通信、男性カメラマンを厳重注意 生配信中に「支持率下げてやる」発言

      時事通信、男性カメラマンを厳重注意 生配信中に「支持率下げてやる」発言

      時事通信社は10月9日、自民党本部での取材中に「支持率下げてやる」などと発言した本社映像センター写真部の男性カメラマンを厳重注意したと発表し…
    4. 「ちいかわの世界に行きたい」ファン、考えた末に鎧さん化 再現度がガチすぎた

      「ちいかわの世界に行きたい」ファン、考えた末に鎧さん化 再現度がガチすぎた

      言わずと知れた人気コンテンツ「ちいかわ」。かわいくもハードなあの作品世界に入っていきたいと願う人は多いはず。筆者もその1人です。しかし二頭身…
    5. ネカフェの個室に不気味なトランプが……Xユーザーの“恐怖体験”に17万いいね

      ネカフェの個室に不気味なトランプが……Xユーザーの“恐怖体験”に17万いいね

      キーボードに差し込まれたトランプのジョーカーと、その裏に書かれた「げぇむすたあと」の文字。Xユーザーの「たーけ」さんが、たまたま入ったネット…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト