スウェーデン海軍の保有する通常動力型潜水艦、ゴトランド級の2番艦ウップランド(HMS Uppland)が近代化改修工事を完了。工事を行なったサーブ・コックムスの事業所で2019年6月19日(現地時間)、工事完了を祝う式典が開催されました。ゴトランド級潜水艦の近代化改修は、2018年10月に工事が完了したゴトランドに続き2隻目となります。
スウェーデン海軍のゴトランド級潜水艦は、スターリング機関による非大気依存(AIP)推進システムを装備した世界初の実用型潜水艦。同型艦は3隻建造され、2番艦のウップランドは1996年9月27日に進水、1997年に就役しました。
今回の近代化改修で大きいものは、ネームシップであるゴトランドがすでに実施したのと同じ、中央部に新たな冷却システム区画を挿入するというもの。船体をカットし、長さ約2mの区画を挟んで再度結合するという大掛かりなものです。これにより赤道付近の暖かい地域でも対応し、活動範囲を拡大することができます。近年は国際協力が盛んになり、艦艇も自国周辺だけでなく、遠隔地で演習に参加したりする機会も増えてきました。この動きに対応した改修といえます。
これとともに、スターリング機関も最新のものに置き換えられました。また、新たな光学潜望鏡のほか、センサーモジュールも新しいものに。サイバーセキュリティの面でも強化が行われています。長期間の活動で重要となる、艦内の居住性も向上しました。
工事完了の式典で、サーブのコックムス部門責任者、ギュンナー・ウィースランダー氏は「潜水艦を新造するのと同様な規模で改修できる事業所は、世界でも数えるほどしかありません。我々は先のゴトランドと今回のウプランド、どちらも12か月以内にこの大規模改修を成し遂げました。今皆さんがお持ちのスマートフォンがまだなかった1990年代終わりに進水したこの潜水艦は、今回の改修で飛躍的な技術的向上を果たしたのです」とコメントしています。
ゴトランドとウップランドの近代化改修工事で実装された新しいシステムは、現在建造が進むスウェーデン海軍の新しい潜水艦、ブレーキンゲ級(A26型)にも受け継がれることになっています。すでに改修を終えたゴトランドとともに、ウップランドは新しいシステムの運用を通じ、乗組員たちに将来のブレーキンゲ級就役に備えた経験を積ませる役割も担うことになります。
<出典・引用>
サーブ プレスリリース
Image:SAAB/スウェーデン国防省
(咲村珠樹)