アメリカ海軍の新しい沿海域戦闘艦カンザスシティが2020年6月20日(現地時間)、母港となるカリフォルニア州サンディエゴで就役しました。就役式典は新型コロナウイルス感染拡大を避けるため、艦長と副長、そして先任伍長のみが出席して実施され、晴れがましい場でありながら、少々地味なものとなっています。

 インディペンデンス級沿海域戦闘艦の11番艦にあたるカンザスシティ(LCS-22)は、ミズーリ州とカンザス州にまたがるカンザスシティを艦名の由来とする3番目の船(初代は第二次大戦中の重巡洋艦、2代目は給油艦)。アラバマ州モービルのオーストラルUSAで2017年11月15日に起工され、2018年10月19日に進水しました。

 本来なら乗組員をはじめ、海軍の幹部や関係者を大勢招いて実施される就役式典ですが、新型コロナウイルス感染拡大防止を目的として、必要最小限の人員で感染防止に十分配慮した形になりました。海軍は今後、新型コロナウイルス禍が落ち着いたならば、関係者を招いた式典を別に開催することを模索するとしています。

 ケネス・ジョン・ブレイスウェイト海軍長官は、カンザスシティ就役に際し「このインディペンデンス級沿海域戦闘艦は、私たちの誇る海軍の遺産を継承し、カンザスシティの人々の精神を具現化するものです。乗組員諸君が私たちの力と能力を拡張し、現在の複雑化する状況に私たちの核心である名誉、勇気、責任をもって立ち向かってくれるだろうと確信しています」とのコメントを発表しています。

 カンザスシティが所属する太平洋艦隊の水上部隊司令官、リチャード・A・ブラウン中将は「ほかの沿海域戦闘艦と同じく、カンザスシティは艦隊にスピードと敏捷性をもたらします。カンザスシティの艦長と乗組員諸君に、就役の時を迎えておめでとうの言葉を贈ります。諸君らは大海原を支配し、必要とあらばその戦闘力を我が国に提供する、誇り高き艦隊の一員となったのです」とのコメントを発表しています。

 カンザスシティの艦長、リチャード・J・ザンバーラン中佐(愛称:RJ)は「艦隊に伍する乗組員の能力に関しては、部下たちの右に出るものはいません。これは沿海域戦闘艦において非常に重要なことで、乗組員は最小限の人数で複数の役割を担い、その全てで優れていなければなりません。乗組員の働きは大きく期待を超えており、私は艦長として光栄に思っています」と、カンザスシティの乗組員に賛辞を惜しみません。

 就役したカンザスシティは、必要な訓練を終えたのち、同型艦とともに第1沿海域戦闘艦部隊(LCSRON-1)の一員として、自由で開かれたインド太平洋地域を維持するための哨戒活動に入ります。

<出典・引用>
アメリカ太平洋艦隊 ニュースリリース
Image:U.S.Navy

※一部表記に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。

(咲村珠樹)