新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に伴い、一時中止されていたアメリカのヨーロッパ最大となる共同訓練「ディフェンダー・ヨーロッパ」のうち、ポーランドとの共同訓練「アライド・スピリット」が内容を修正の上、6月5日から実施されることが発表されました。
アメリカとヨーロッパのNATO加盟諸国とが実施する「ディフェンダー・ヨーロッパ」は、アメリカ本土から2万人規模の兵力が移動して実施される、アメリカ軍にとってヨーロッパ最大規模の共同訓練です。ヨーロッパ側を含めると、およそ3万7000人の将兵が参加します。
ディフェンダー・ヨーロッパは大規模な共同訓練のため、数か月にわたっていくつかのフェーズに分かれて実施されます。アメリカからの人員と装備の移動は2月から始まっており、3月には訓練の一部が実施されました。
しかしその後、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大にともない、各国で人の行き来が厳しく制限される事態に。軍の訓練も影響を受け、特に人同士の接触機会が多い陸上部隊の訓練については一時中止の措置が取られました。ポーランドのドラウスコ・ポモルスキ訓練場で5月に予定されていた「アライド・スピリット」も、実施を延期する措置がとられています。
訓練が実施されるポーランドでは、新型コロナウイルス感染者が減少に転じ、4月20日から外出禁止要請が段階的に緩和されています。こういった情勢を受け、アメリカとポーランドの当局者は協議を重ね、予定していた訓練内容を一部修正した上で、6月5日~6月19日のスケジュールで実施することを決定しました。
アメリカ陸軍から参加するのは、第1騎兵師団、第2機甲旅団戦闘団、第3戦闘航空旅団、第3歩兵師団からなる約4000名。ポーランド陸軍から参加するのは、第12機械化師団(シュチェチン)、第6空挺旅団(クラクフ)、第9騎兵旅団(ブラニエボ)からなる約2000名、総勢6000名規模の人員が訓練を実施します。
アメリカ陸軍ではこれ以外にも、新型コロナウイルスの状況を考慮しながら「ディフェンダー・ヨーロッパ」で実施予定だった共同訓練の再開を検討しているとのこと。現在アメリカ本国からヨーロッパ入りした人員と装備品は、ドイツのベルゲン-ホーン訓練場で待機状態にあり、アメリカ本国から新たな移動を伴わない範囲で、訓練実施を模索するとしています。
<出典・引用>
アメリカ欧州軍 プレスリリース
ポーランド陸軍 ニュースリリース
Image:U.S.Army
(咲村珠樹)