定年退職した人が第2の人生として何かを開業したり、趣味を生かした新しいことを始めるのはよくある話ですよね。キャンプ場のオーナーになった元教頭先生が作ったチラシが、プロのデザイナーの力で劇的に変わったと話題になっています。

 このチラシのビフォーアフターを紹介したのは、無料マンガ配信サービス「サイコミ」にて「TSUYOSHI 誰も勝てない、アイツには」を連載中の丸山恭右さん。

 「元のチラシとプロが本気を出したチラシ」と、元教頭先生が作ったチラシとそれを劇的なまでに手直しした後のチラシが2枚、ツイートとともにアップされています。

 右側1枚目の方は、作ってもらったロゴがぺしゃっと潰れ、書いてある雰囲気も学校行事のお知らせみたいな雰囲気。オーナーさんの似顔絵と数点の写真はあるものの、キャンプ場の案内などの文章が「校外学習のお知らせ」みたいな感じで並んでいます。全体的に写真よりも白地に文章が並んでいて硬い雰囲気。

 そして、アフターである左側の2枚目は、全体的にカラーでポップ、潰れていたロゴは真ん中よりやや上にドーン、そしてその周りを囲むように緑豊かなキャンプ場の背景とともに、体験できる内容がイラスト付きで紹介されています。ロゴの下にはリニューアルオープンの日付と、オーナーさんのあいさつ文。

 そしてその文章の下には写真が横4枚にわたって並べられ、写真の下には施設の概要、利用料金やアクセスなど、各案内が掲載されています。オーナーさんの似顔絵も左下にばっちり。

 このビフォーアフターに、「デザインとは?という講義のサンプルに使えそうなくらい印象が変わってますね!ワクワク感が段違い!」「『見せたい部分のコンセプトが曖昧な物とハッキリした物』というのはこういう両者という良い例」などなど、その変身っぷりにさすがプロ!と称賛の声が飛び交っています。

 さて、丸山さんがこの両者の比較をなぜツイッターにアップできたのか。実はビフォーのチラシを作った元教頭先生が丸山さんのおじさんであり、リニューアルするキャンプ場のオーナーだから。

 おじさんがキャンプ場を運営するという連絡を受けた丸山さんが、ロゴと似顔絵を描いておじさんに渡したところ……1枚目の画像のような自作のチラシが送られてきた、という話。元教頭先生だけあって、仕上がりはまさに“学級だより”。連絡事項を端的に並べられていますが、せっかく丸山さんが作ったロゴもスペースの関係でもったいないことに……。情報量が多いこともあり、きっと苦戦されたのだと思います。

 まさに“学級だより”な雰囲気満載のチラシが丸山さんの元に送られてきたのですが、そのチラシを見た丸山さん、いても立ってもいられなくなり、「チラシも僕の方でやらせてください……!」と申し出たそう。そんなわけで、友人のデザイナーさんと一緒に、元のチラシを大改造、というよりもほぼ作り直したのでした。

 このアフターの状態をオーナーであるおじさんに見せたところ、素直に感心されており、「このチラシに見合うクオリティのキャンプ場にします、と喜んでくれました(笑)」とのこと。確かに、このチラシを見ると何だかワクワクしてきそう。子ども会や家族でのキャンプで行きたいな、って思う雰囲気が出ています。

 チラシを作り直すにあたって、丸山さんにこのチラシを作る上でのこだわりを聞いたところ、「色やイラストをできるだけ沢山使って、キャンプ場らしい雰囲気がより伝わるように心がけました」とのこと。現在プレオープン中ということもあり、素材となる写真がない中で、どうやったらワクワク感が出せるかを工夫して、このデザインに落ち着いたのだそうです。

 このビフォーアフター、確かにほぼ同じ内容なのに完全に別物感。デザインの意味や大切さを改めて感じるいいお手本かもしれませんね。

<記事化協力>
丸山恭右さん(@maruccckey)

(梓川みいな)