島国である日本には、美味しいお魚料理が多くあります。しかし、魚には多くの小骨から鋭く長い骨まであり、うっかり飲み込んでしまうとのどの奥に刺さってしまうことも。そんな魚の骨で危うく人が死にかけたという話がこの夏に注目を集めました。
きっかけは、SNS上に投稿された医師たちの話。鯛の骨が食道を貫き胸部大動脈に達し、大量に出血を来たして死亡した症例や、エビのしっぽで食道~胸部大動脈損傷で大量吐血してきた患者さんに対し、CTにて診断。手術がすぐに必要と判断して準備している間に亡くなってしまった症例、同様に魚の骨を手術で取り除いたという症例や、魚や魚介類に付いている鋭利な部分での内蔵損傷を診察した体験などが多数投稿されました。
■ 魚の骨がのどに刺さった時はまずどうすべき?
たかが魚、されど魚。圧力なべで骨が崩れるまで煮込んであったり、手や箸で簡単に割れるくらいまでぱりぱりになっていれば、よく噛めば大丈夫なことも多いのですが、ぱりぱりになっていたとしても丸のみしてしまえばやはり刺さったり傷をつける可能性は充分にあります。
魚の骨がのどに刺さった時、先人は「ご飯の塊を丸のみする」という知恵を伝えてきましたが、それで取れても軽く刺さった小骨程度。鯛やカレイなどの煮つけなどの骨は固い上にある程度のしなりもききます。ご飯の塊程度ではとても取れるものではありません。
もし、骨をうっかり飲み込んでのどに違和感を覚えたり、胸のあたりでつかえる感じがある様であれば、消化器内科を受診するのがよいでしょう。のどの深いところでなければ耳鼻科でものどを診てもらうことができます。放置しておくと、骨がめり込んでしまい、奥の方にある大動脈にまで達する危険性は覚えておいた方が良いかと思います。
■ 慣れと早食いは事故の元
「普段から骨まで食べているから大丈夫」という人も中にはいるかもしれませんが、それはただ今まで運が良かっただけかもしれません。食道や胃を通過しても、曲がりくねって良く動く腸の中で刺さってしまうケースもあります。腸の中で刺さってしまうと、腸の内容物が外に出てしまい強い炎症を起こすこともあります。もちろん、これも命の危険につながることは言うまでもありません。
揚げてあったり煮つけにされているお魚の中には、小骨と言えどもどこかに刺さってしまう危険性を念頭に置いて、骨を丁寧に取り除いてよく噛んで食べるのが一番。間違っても、よく噛まずに丸のみしないように。
(梓川みいな/正看護師)