人から「大丈夫?」ときかれると、本当はしんどくてもつい「大丈夫」って答えてしまいがち。おかげで助ける側もそこで差し伸べた手を、すっと引っ込めてしまいます。あまりしつこくして「余計なお節介」って思われたらいやですものね。

 でもその聞き方を「手伝うことはありますか?」もしくは「手助けすることはありますか?」と変えるだけで……人は素直に助けをもとめやすいのじゃないか。そんな話が関心をあつめています。

 実体験に基づく内容を紹介したのは、ツイッターユーザーのむいたんさん。過去にむいたんさんは“「大丈夫?」と聞かれると反射的に「大丈夫!」と答えちゃうので、【手伝うことはありますか?】と聞いて欲しい」”と、車椅子の人が話しているのを聞いていたそうです。

 そんな話が記憶の片隅にあったある日の出来事。むいたんさんは、道で苦しそうに四つん這いになっている女性に遭遇しました。そこで記憶に従い「どうしました?手助けすることはありますか?」と声をかけてみると、「つわりが…」の回答が。実は妊婦さんだということがわかったのです。おかげで、話を聞いた周囲の人たちもすぐさま助けに加わることができました。

 電話で救急車を要請する人、女性が連れていたお子さんをあやす人。通りがかった人たちが、それぞれ自発的に動いたといいます。

 その間、むいたんさんは居合わせた人と協力して女性を近くの椅子に座らせました。そして今度は「他にして欲しい事はあります?」と聞いてみると、「水を…」という回答。スムーズに要望を聞き出すことに成功したのです。

 この時の出来事を振り返り「もし『大丈夫ですか?』って聞いてたら、具体的な要望を聞き出せなかったと思う」と語る、むいたんさん。投稿では「今後スムーズに声をかけたり、かけられたりが増えるといいな」と結んでいました。

 相手が子供でも、若い人でも、お年寄りでも。誰かが困っているのを目の前にしたとき「本音は助けたいけれど、どう動いて良いのか瞬時に判断できない」という人は少なくありません。だからつい「大丈夫ですか」と声をかけがちですが、それだと相手も反射的に「大丈夫です」と、本音とは裏腹に言ってしまうことがあります。

 自分のせいで他人に迷惑をかけたくない、という心理も働きますし、ピンチであるほど頭は「どうしよう!」とパニックになり、冷静な判断がしにくいもの。思っていることと違うことでも、使う頻度の多い言葉が反射的に出てしまうのはありがちなことです。

 それを相手が回答に一瞬考える言葉「手伝うことはありますか?」に変えるだけで、相手も冷静になるきっかけを作ることができます。何がつらいのか自分の状態を把握し、素直に希望を伝えやすくなる。

 英語での「May I help you?」に相当する言葉ですが、具体的な要望を質問するというのは、助け助けられる側双方にとって、良い結果を生み出せる表現ではないでしょうか。ほんの少しの工夫ですが、いざという時のために覚えておくと、いつか誰かの命を助けることにつながるかもしれません。

<記事化協力>
むいたんさん(@yasmuimui)

(宮崎美和子)