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令和の世にシュシュっと参上! 忍者直伝の運歩法が目からウロコ

 皆さん忍者ってどういうイメージを持たれていますでしょうか。忍者装束と覆面を纏いながら颯爽していく姿、手裏剣をシュババっと投げ込む姿、巻物を咥えながら動物を口寄せをしていく姿などなど……。近年だと「影分身の術!」「螺旋丸!」「言ったことは,まげねぇ。それが俺の忍道だ!」といったフレーズの某少年漫画が広く知られているかもしれません。

 さてそんな忍者ですが、さすがに21世紀も20年が経った令和の日本にも実は存在しているのです。甲賀?伊賀?いやいや、今回ご紹介する忍者は……埼玉県にいるんです。

  •  その名は習志野青龍窟(せいりゅうくつ)氏(以下青龍窟氏)。千葉県の習志野市を思い出す忍者名ですが、お住まいは埼玉県。そして得意忍術は剣術・抜刀術・棒術・体術・手裏剣術とまさに多芸な忍者で、2009年より忍者として活動しています。

     また現代に生きる忍者としてその活動は多岐にわたり、ある時はその流暢な英語力を生かしてインバウンド向けには体験ツアーやセミナーなどを開催し、またある時は「忍者習志野」という名義で国内外のメディアでコメンテーターとしても多数出演。さらには映画や海外公演では忍術指導も行い、国際忍者学会にも参加するなどワールドワイドに活躍している“グローバル忍者”でござる……失礼ございます。

     そんな青龍窟氏、実はSNSにおいても普及活動をされており、日々様々な忍術や武術を紹介されているのですが、先日とある歩き方についてTwitterにて投稿したところ大きな反響となりました。

     「「万民千里善歩傳」1860年代記載・下り坂運歩の検証。滑稽に見えるが、上腕が衝撃をのんで、膝が大変に楽。検討の余地がある技術」

     そうつぶやきながら、青龍窟氏が動画にて紹介するこの歩き方。一見すると、いわゆる“阿波踊り”をしているような歩き方なんですが、実はこれが理に適った歩法であるとのこと。

     氏曰く、こちらの下り坂運歩法は、先にご紹介した「万民千里善歩傳 全」(岡伯敬著)という書物に記載されている技術とのこと。この書物ですが、江戸時代の歩法の指南書のようなものだそうで、一説では伊賀忍者の技術と繋がりがあるんだとか。今回修行の一環で、房総半島を約80㎞歩く合宿がありその際に実践したそうです。余談ですが、この話を聞いた直後「え?80㎞!?」と心の中で軽く衝撃を受けたことをご報告します。

     さてこの下り坂運歩法ですが、書物の中には諸手を挙げて坂道を下る旅人が描かれているそう。諸手を挙げることで、坂道を下る際に発生する膝への衝撃が上腕に吸収され、結果として膝の疲労軽減になるとのこと。

     反対に登り道を歩く「上り坂運歩法」では、逆に腕を下げて歩くことでその効果が得られるそうです。この「上り坂運歩法」はみため、カトちゃんケンちゃん(加藤茶さん、志村けんさん)の往年のコント「ひげダンス」のポーズや動きに似てるな……と個人的には感じました。

     理論的には何となく理解できるけど、実際に効果はあるのかな?と思われた方も多いかもしれません。ところが、実際に試してみた方からは疲労が軽減されたとのツイートが。私もさっそく……とばかりに近所の下り坂でやってみたんですが、確かに膝の負担が外に流れていくような感覚でいつもより楽に下れた気がしました。

     青龍窟氏も今回はまだ検証段階で、この運歩法を含め「万民千里善歩傳」に記されている様々な技法を研究していきたいとのこと。今回の上り坂・下り坂運歩も、一見すればひげダンスや阿波踊りをしているような様相になってしまい、現代日本の感覚では恥ずかしさを感じる方も多いが、自分としては古(いにしえ)の知恵を現代に伝承できればと仰っていました。

     実に摩訶不思議な話。先人の知恵に学ぶとはよく言ったものです。

     なお、毎週土曜日にZoomでは忍者入門セミナー(有料)を開催しているそうです。今から忍者になってみたい!という方は覗いてみるといいかもしれません。

    <記事化協力>
    習志野青龍窟 忍道家さん(@3618Tekubi)

    (向山純平)

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