カナダ空軍とNATOは2020年9月3日、カナダ空軍のCF-18ホーネット6機と135名の人員がルーマニアのミハイル・コガルニチャヌ空軍基地に到着し、NATOの防空任務につくと発表しました。カナダ空軍のCF-18は9月5日より、ルーマニア空軍のF-16、MiG-21とともに、2020年12月までルーマニア周辺の防空任務にあたります。
NATOでは2014年より、空軍力の手薄な加盟国の防空を補助するため、ほかの加盟国から戦闘機部隊を派遣する防空強化策(Enhanced Air Policing)を実施しています。
ロシアと国境を接するバルト3国や、アイスランドにおける防空任務がよく知られていますが、ルーマニアやブルガリアでも、領空を侵犯する恐れのある国籍不明機(主に情報収集にやってくるロシア軍機)に対するスクランブル(QRA)を実施するため、加盟国の戦闘機部隊が輪番制で派遣されています。
これらの防空任務は「REASSUARANCE(安心)」作戦という名前で呼ばれており、スペインの首都マドリード近郊にあるトレホン・デ・アルドス空軍基地に司令部を置く、NATO複合航空作戦センター(CAOC)の指揮のもと実施されています。作戦の対象となる範囲はアルプス山脈の南方、スロベニア、モンテネグロ、アルバニア、ルーマニア、ブルガリアや、黒海の上空となります。
今回、ルーマニアでの防空任務に従事するのは、カナダ空軍第433戦術戦闘飛行隊「ポーキュパイン(Porcupine)」のCF-188ホーネット6機を基幹とする、総勢135名。カナダ空軍はこれまで2014年、2016年、2017年、2018年に部隊を派遣しており、今回が5回目となります。
ミハイル・コガルニチャヌ空軍基地でカナダ空軍部隊を出迎えた、NATO複合航空作戦センター司令官のフェルナンド・デ=ラ=クルーズ・カラバカ中将(スペイン空軍)は「NATOの防空任務は、同盟のバックボーンとして、集団防衛における重要な位置を占めています。これは敵対する勢力の脅威に対し、同盟国が結束して防御・阻止にあたる姿勢を内外に示すものです」とコメントし、任務の重要性を改めて示しました。
派遣部隊の責任者となるデビッド・マクロード中佐は、2014年のルーマニア派遣を経験した人物。「2014年にこの任務を遂行したことで、パイロットをはじめとする任務部隊全体がNATO加盟国の一員として、どれほど多くのものを得るか、私は熟知しています。新型コロナウイルスは、この素晴らしいチームの士気を鈍らせるものではありません。ほかのNATO加盟国と協力することは、集団的自衛権の行使に必要不可欠ですが、互いに学び合う貴重な機会でもあります。再びルーマニアの同僚とともに任務にあたり、飛ぶことを楽しみにしています」と、再びルーマニアの空へ戻ることに意欲を見せています。
今後カナダ空軍の戦闘機部隊は、ここミハイル・コガルニチャヌ空軍基地を拠点に活動し、ルーマニアをはじめとするNATO加盟国の防空にあたるほか、共同訓練にも参加する予定。2020年12月の任務終了まで、忙しい日々が続きます。
<出典・引用>
カナダ空軍 ニュースリリース
NATO ニュースリリース
Image:RCAF
(咲村珠樹)