おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

発達障害だって個性 1枚の葉で独自の世界を表現する「葉っぱ切り絵クリエイター」

 「『モコモコポップコーン』おやつのじかんになると、ひつじのポップコーン屋さんがベルをならしてやってきます。『できたてのポップコーンはいかが?ポンポンはじけて今が食べごろだよ』 #切り絵」

 9月のある日、そんな文面とともに、Twitterにて投稿されたツイートがちょっとした話題になったのをご存知でしょうか。「どんな内容だろう?」と、筆者はそのツイートをクリックして詳細を確認。すると、そこには1枚の葉っぱを摘まんだ画像が。

  •  「え、葉っぱ!?」と驚いた筆者。そこには、ポップコーン屋を営んでいる羊が、ベルを片手に子羊たちに出来立てのポップコーンを勧めている構図を、1枚の葉っぱを切り絵にして紹介している様子。しかもこの切り絵、よくよく見ると、羊の横にはポップコーン屋台のワゴンや、知らせを聞いて飛び上がって喜んでいるような子羊の様子も表現しており、非常な精巧な作りなんです。

     「葉っぱ1枚でこれはすごい!」と感じた筆者は、さっそくこのツイートの投稿者であり、この作品の製作者でもあるリト@葉っぱ切り絵さん(以下リトさん)に話を伺いました。

     リトさんは、1枚の葉っぱで様々な世界観を表現する「葉っぱ切り絵クリエイター」。毎日制作したものを、ご自身のTwitterやInstagramに紹介しており、今回の「モコモコポップコーン」以外にも、様々な「葉っぱ切り絵」作品を投稿し、都度話題になっておられます。

     そんな葉っぱ切り絵。使用している葉や、どのように世界観をイメージしているかも気になるところです。

     「葉っぱについては、切り絵に向いている椿やサンゴジュの中で、サイズ感が合ったものを毎回探しに行っているんです。そこから制作に入っていくんですが、完成イメージをあらかじめ紙に下書きして、それを見ながら、葉っぱの裏にペンで写していく流れになっていますね」

     制作過程について、そう仰ったリトさん。ちなみに過去投稿された作品を拝見すると、葉の幅もですが、作品によっては今回の「モコモコポップコーン」のように、葉を横にした作品だけでなく、縦に使用した作品も。イメージとリンクした葉を探すのも、決して容易なことではないことが伺えます。

     今回の「モコモコポップコーン」も、題材探しの際に、ポップコーン屋さんの販売ワゴンを目にしたことがきっかけで、「モコモコした身体がポップコーンみたいで」ということで、生き物は羊を選ばれたそうなんですが、そこからが大変だったとのこと。

     「制作中はワゴンの車輪に、ポップコーンや羊一体一体の目を切り抜く作業工程が多くて、いつも以上に時間がかかりました。それに葉っぱは、一度刃を入れると痛みが早いので、乾燥や変色が始まる前に仕上げなきゃいけないんです。時間との勝負でもあるんですが、今回はいつも以上に時間がかかりましたね」

     「作業は素早く丁寧に」とはいいますが、このクオリティでそれが出来てしまうリトさんに、筆者はただただ驚くばかり。実際のツイートにも、リトさんの世界観への共感と、葉っぱ1枚で表現していることへの驚きの声が続出しました。

     それにしても、この作品を生み出すのには、並大抵の集中力やこだわりがないと出来るものではありません。実はリトさんは、「ADHD」と呼ばれる発達障害を抱えており、過度に集中した状態に陥る「過集中」の症状を持病にされています。しかしながら、リトさんご本人は、その症状についてマイナスには捉えていません。

     「確かに僕は発達障がい者です。集中力は偏ってますし、こだわりも強い人間です。でもそれは僕の個性。前向きに捉えて、葉っぱ切り絵の作品作りにも活かしています」

     と、自身について語るリトさん。そんなリトさんの想いが乗り移った作品だからこそ、多くの人を魅了しているのかもしれませんね。

    <記事化協力>
    リト@葉っぱ切り絵さん(Twitter:@Teriyaki_Cheese/Instagram:@lito_leafart)

    (向山純平)

    あわせて読みたい関連記事
  • 見える見える……木目に現れた“ひろゆき”に本人も反応「気付いてしまいましたか」
    インターネット, おもしろ

    見える見える……木目に現れた“ひろゆき”に本人も反応「気付いてしまいましたか」

  • 「見ざる・言わざる・聞かざる」を物理的に再現!1人で3猿をこなせるマスク
    インターネット, おもしろ

    「見ざる・言わざる・聞かざる」を物理的に再現!1人で3猿をこなせるマスク

  • もしも「食べられるガラス」があったら? アクリル製のリアルな“試作品”
    インターネット, びっくり・驚き

    もしも「食べられるガラス」があったら? リアルな“試作品”を美大生が製作

  • 数式を組むとシーラカンスが浮かび上がる?実在しない「シーラ関数」が話題
    インターネット, おもしろ

    数式を組むとシーラカンスが浮かび上がる?実在しない「シーラ関数」が話題

  • わーおしゃれなTシャツ……かと思いきや?夫が繰り出した斜め上の愛情表現
    インターネット, おもしろ

    わーおしゃれなTシャツ……かと思いきや?夫が繰り出した斜め上の愛情表現

  • アスキーアートは手打ちで作れる!?まさかの方法で生み出される「モナー」
    インターネット, おもしろ

    アスキーアートは手打ちで作れる!?まさかの方法で生み出される「モナー」

  • 三笠書房ホームページより
    インターネット, 社会・物議

    ビジネス書『職場の「困った人」』が出版前からSNSで炎上、イラスト担当が謝罪

  • ジュラシックなフタ押さえ!モササウルスが割り箸をくわえてカップ麺をガード
    インターネット, おもしろ

    ジュラシックなフタ押さえ!モササウルスが割り箸をくわえてカップ麺をガード

  • 傘立てから伸びる黒い手の正体は傘 「一瞬でどこにあるか分かる」
    インターネット, びっくり・驚き

    傘立てから伸びる黒い手の正体は傘 「一瞬でどこにあるか分かる」

  • 雪の上を歩いて描いた地上絵、現れたのは巨大な海の生き物たち
    インターネット, おもしろ

    雪の上を歩いて描いた地上絵、現れたのは巨大な海の生き物たち

  • おたくま編集部Editor

    記事一覧

    おたくま経済新聞・編集部による監修or執筆

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • 毛玉とるとる Pro(KC-NW825)
    商品・物販, 経済

    ストッキングやタイツも可の毛玉取り器誕生 マクセルイズミ「毛玉とるとる Pro」…

  • キヤノンの名機が「ガシャポン」で復活 歴代カメラ5種を精密ミニチュア化
    商品・物販, 経済

    キヤノンの名機が「ガシャポン」で復活 歴代カメラ5種を精密ミニチュア化

  • 時事通信、男性カメラマンを厳重注意 生配信中に「支持率下げてやる」発言
    社会, 経済

    時事通信、男性カメラマンを厳重注意 生配信中に「支持率下げてやる」発言

  • ゴロっとチキンのカレーナポ
    商品・物販, 経済

    パンチョ初の人気投票1位「カレーナポ」が進化 期間限定で復刻登場

  • 山崎賢人さんと坂口憲二さん(※山崎賢人さんの崎の字は正しくは「たつさき」です)
    イベント・キャンペーン, 経済

    サントリー生ビール新CMメイキング公開 山崎賢人ら“生ひげ”姿で掛け合い

  • なか卯に「黒トリュフ薫る きのこ親子丼」が期間限定で発売
    商品・物販, 経済

    なか卯に「黒トリュフ薫る きのこ親子丼」が期間限定で発売

  • トピックス

    1. 丸山製麺が「ラーメン大好き小泉さん」とコラボ!小麦麺使用の新感覚「らーめん缶」を実食

      丸山製麺が「ラーメン大好き小泉さん」とコラボ!小麦麺使用の新感覚「らーめん缶」を実食

      丸山製麺が10月6日から、人気ラーメン漫画「ラーメン大好き小泉さん」とコラボした「らーめん缶」を、東…
    2. これでもう怒られずにすむ? 息子が作った「ママの攻略本」の実力は

      これでもう怒られずにすむ? 息子が作った「ママの攻略本」の実力は

      親に怒られてしまった子どもが、その後に取る態度はさまざまです。落ち込む子もいれば、しっかり反省する子…
    3. 警告ポップアップで強引に広告誘導 悪質業者が仕掛ける正規サービスを悪用した罠

      警告ポップアップで強引に広告誘導 悪質業者が仕掛ける正規サービスを悪用した罠

      インターネットを使っていると、ふとした瞬間に現れる「警告ポップアップ」。 近ごろでは「サポート詐欺」…

    編集部おすすめ

    1. 毛玉とるとる Pro(KC-NW825)

      ストッキングやタイツも可の毛玉取り器誕生 マクセルイズミ「毛玉とるとる Pro」を発売

      マクセルイズミ株式会社は、ストッキングやタイツなどの繊細な衣類にも対応する毛玉取り器の新モデル、「毛玉とるとる Pro(KC-NW825)」…
    2. キヤノンの名機が「ガシャポン」で復活 歴代カメラ5種を精密ミニチュア化

      キヤノンの名機が「ガシャポン」で復活 歴代カメラ5種を精密ミニチュア化

      キヤノンが、バンダイの「ガシャポン」とコラボレーション。歴代のカメラとレンズをミニチュア化した「Canon ミニチュアカメラコレクション」を…
    3. 時事通信、男性カメラマンを厳重注意 生配信中に「支持率下げてやる」発言

      時事通信、男性カメラマンを厳重注意 生配信中に「支持率下げてやる」発言

      時事通信社は10月9日、自民党本部での取材中に「支持率下げてやる」などと発言した本社映像センター写真部の男性カメラマンを厳重注意したと発表し…
    4. 「ちいかわの世界に行きたい」ファン、考えた末に鎧さん化 再現度がガチすぎた

      「ちいかわの世界に行きたい」ファン、考えた末に鎧さん化 再現度がガチすぎた

      言わずと知れた人気コンテンツ「ちいかわ」。かわいくもハードなあの作品世界に入っていきたいと願う人は多いはず。筆者もその1人です。しかし二頭身…
    5. ネカフェの個室に不気味なトランプが……Xユーザーの“恐怖体験”に17万いいね

      ネカフェの個室に不気味なトランプが……Xユーザーの“恐怖体験”に17万いいね

      キーボードに差し込まれたトランプのジョーカーと、その裏に書かれた「げぇむすたあと」の文字。Xユーザーの「たーけ」さんが、たまたま入ったネット…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト