アメリカ海軍のフライトデモンストレーションチーム「ブルーエンジェルス」は、2021年シーズンから新たにF/A-18E/Fスーパーホーネットを使用します。このため、従来型のF/A-18ホーネット「さよならフライト」として、地元フロリダ州ペンサコーラ上空で記念の編隊飛行を実施しました。

 アメリカ海軍の主力戦闘機F/A-18は、現在発展改良型のE/F型「スーパーホーネット」に置き換えが進み、従来型のA〜D型はほとんど残っていません。このため、ブルーエンジェルスもスーパーホーネットに機種転換することが2015年に発表されていました。

 ブルーエンジェルスの使用機は新品(新造機)を調達するのではなく、部隊から条件に合ったものをピックアップし、ブルーエンジェルスの展示飛行用に各部を改修する形式です。今回のスーパーホーネットへの転換も同様で、初期生産型のブロック21/22のうちで飛行時間が少なく、オーバーGやハードランディングなどで機体構造にダメージを負っていない機体が選ばれ、改修が行われました。

 改修された1号機は、かつて日本に拠点を持つ空母ロナルド・レーガンのVFA-115「イーグルス」で運用されていたE型。メーカーのボーイングから受領したのち、一旦メリーランド州のパタクセントリバー海軍航空基地で運用試験が実施され、2020年7月27日にブルーエンジェルスへと引き渡されました。

 2号機以降も順調に改修が進み、予定通り2020年中に必要数が揃いました。すでにE/F型を使った飛行訓練も進められています。

 ブルーエンジェルスの使用機が正式にスーパーホーネットとなる前日の2020年11月4日、歴代使用機中最長の34年(シーズン)を飛んだA〜D型のF/A-18を使って、これまで支えてくれた地元フロリダ州ペンサコーラの人々や関係者に感謝と敬意を表する「さよならフライト」が実施されました。飛行するコースは、ペンサコーラ海軍航空基地を中心に、ナバラビーチからフォートモーガンに至る海岸線です。

 最後の「レガシーホーネット・ブルーエンジェルス」は、16時にペンサコーラ海軍航空基地を離陸し、まずは夕刻のオレンジビーチからフォートモーガンまで海岸線をたどり、方向転換。元来たルートをたどって、今度はペンサコーラビーチからナバラビーチまでを飛行して着陸しました。およそ30分の「さよならフライト」でした。


 従来のA~D型「レガシーホーネット」に対し、E/F型「スーパーホーネット」は同じF/A-18を名乗ってはいますが、機体規模も一回り以上大型化し、エンジンもより推力の大きなものとなっており、名前と見かけは似ているものの別物といってもいい存在。軽快なレガシーホーネットに対し、パワフルでダイナミックなディスプレイが予想されます。

 スーパーホーネットは、今も伝説となっている1969年〜1974年の「F-4ブルーエンジェルス」と推力重量比が似通っており、オールドファンにはF-4時代のダイナミックなフライトが見られるのではないか、と楽しみにしているようです。2021年のエアショウがどうなるか分かりませんが、ブルーエンジェルスは予定通り、カリフォルニア州エルセントロでウィンタートレーニングをすることとしています。

<出典・引用>
アメリカ海軍 プレスリリース
Image:U.S.Navy

(咲村珠樹)