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ちゃんぽんといえば?そらイトメンやろ 兵庫・播磨のソウルフード「チャンポンめん」って知ってる?

 突然ですが皆さん、「ちゃんぽん」というと何を思い浮かべますか?

 恐らくリンガーハットでもおなじみの「長崎ちゃんぽん」を連想する人が最も多いのでは。ちなみに弊社編集部の面々は、九州に縁のある人間が多いこともあり、よりその傾向が顕著だったりします。

 しかし、兵庫県出身の筆者はそうではありません。「兵庫でちゃんぽんといえば?」と言われるとこう答えます。

 「え?そらイトメンやろ?」と。

  •  「『揖保乃糸』の素麺」「『うすくち醬油』のヒガシマル醤油」「『天使のはね』のセイバンのランドセル」などで有名な兵庫県たつの市。全国的な知名度を有するこれらですが、ここ兵庫に限っては、負けず劣らずの存在感を見せているのが先述のイトメン。

     1950年創業の食品メーカーで、実は日本(世界)で二番目に即席麵商品を販売した企業。ちなみに一番目は、日本が世界に誇るインスタント食品「チキンラーメン」を発売した日清食品です。

     そして今回筆者が紹介する「ちゃんぽん」というのが、イトメンが1963年より販売展開している袋麺「チャンポンめん」。兵庫県在住者なら、TVCMで流れていた「イットメーン」のフレーズを聞くと、「ああ、あれか!」と思い出すくらいには知れ渡っている兵庫の隠れた「ソウルフード」です。

    1963年発売のイトメン「チャンポンめん」。実は日本で2番目に販売された即席めん。

     5袋入った大容量パッケージでは、全身を黄色で配色され、さらに真ん中には、青字で「イトメンの」と前置きの上でピンクがかった赤文字でデカデカと「チャンポンめん」という記載。右上には大きく「since1963」と販売開始年も記されてます。また先ほど「イトメンの」の左隣には、初代公式マスコットキャラ「とびっこ」、左下には二代目の「アカネちゃん」のイラストが描かれています。

    発売開始年度に新旧そろい踏みのキャラクターが特徴の大容量パッケージ。

     この「とびっこ」と「アカネちゃん」は、いずれもたつの市発祥の童謡「赤とんぼ」をモチーフにしたキャラクター。しかし、アカネちゃんはそれを連想させる愛らしいキャラクターですが、とびっこは少々個性強めなフォルムをしているのも特徴。

    初代マスコットキャラクター「とびっこ」の個性的なフォルムも特徴的。

     編集部の人間ととびっこの話になったとき、そのネーミングもあってか、トビウオがモチーフのキャラクターと思われていました。幼少期から嗜んでいる私ですら、この意見には失礼ながら納得。私はこのとびっこのことを、つい最近までずっと「宇宙人」と思い込んでいたくらいですから……。

     とはいえ、個人的には2013年に誕生したアカネちゃんよりもなじみ深いキャラクター。そういった方が多いからなのか、小袋パッケージの方の表面には、とびっこのみが描かれています。

    小袋パッケージ表面はとびっこのみが描かれています。

     さて、そんなイトメン「チャンポンめん」ですが、実は言うほど「兵庫のソウルフード」でもなかったりします。筆者は兵庫県姫路市出身なので、隣接する「龍野(※1)のイトメン」はよく存じておりますが、一方で特に神戸市以東の地域ではさほど浸透しておらず、取り扱いのないスーパーもザラです。なので、正しくは「兵庫・播磨(※2)のソウルフード」と表現した方が正しいかもしれません。

    ※1:龍野とは。たつの市の前身の市のひとつ。ちなみにたつの市は「播磨の小京都」とも形容される城下町。余談だが、JRの駅では本竜野(姫新線)・竜野(山陽本線)といずれも「竜」表記だったりする。
    ※2:播磨とは。姫路・たつのを含む兵庫のエリアのひとつ。「播磨国」から来ている。ちなみに妖怪キャラクター「ガジロウ」を擁する神崎郡福崎町、「健美」の加西市も播磨エリア。

     そんな中で筆者は今回、兵庫県下のみで66店舗(マルアイ公式HPより)を構え、「兵庫のモンなら大体取り揃えている」スーパーである「マルアイ」で購入しています。

    実は兵庫でも取り扱いがなかったりするイトメン。今回は「兵庫の製品ならおまかせ」スーパーマルアイで購入しています。筆者は今回マルアイで確保(購入)しました。

     さて、色々とうんちくを語らせていただきましたが、そろそろ調理に入りたいと思います。

     と言ってもこのチャンポンめん、作り方はいたってシンプル。湯を沸かして、中に入っている具材を順に投入して煮込めば出来ちゃいます。一般的な袋麺と同じ調理法です。

    作り方はいたってシンプル。

     なのですが、実はチャンポンめんには、麺と粉末スープと加えて同封されているかやくが特徴的。それはなんと乾燥された「エビ」と「シイタケ」。商品パッケージにも大きく記載されているこれらが旨さの秘訣です。

    麺と粉末スープに加え、乾燥したエビとシイタケが「かやく」で入っているのが最大の特徴。

     湯も沸いたのでまずは麺を投入しましょう。同時にエビとシイタケもドボンし、ダシをとるような感覚で、時折麺をほぐしながら3分間煮込んでいきます。

    沸騰したお湯にまずは麺とかやくをドボン。

     3分後。程よく麺もほぐれてきました。ここで粉末スープをファサっと投入。そのまま火を止め、余熱でササっと混ぜ合わせていきます。おっ、ええ感じに“白いの”になってきたで!どんぶりに移し替えましょう。

    3分後、粉末スープを入れて混ぜ合わせていきます。

     どんぶりに見えるのは、白いスープに細い麺、チラリと見えるエビとシイタケたち。そう、これが「兵庫のちゃんぽん」こと、イトメンのチャンポンめん!初見の方ですと「タンメン」を連想するかもしれませんね。しかしこの「白いラーメン」が、筆者のような”播磨っ子”にとってのラーメン。私も母によく作ってもらったものです。やっぱこれやんなあ。

    白いスープに細麺、所々に見えるエビとシイタケが「チャンポンめん」なのです。

     ちなみにこのチャンポンめんですが、他の商品同様、焼豚やゆで卵といった「推奨トッピング具材」がパッケージにデザインされています。が、しかし今回そこも再現すると、本来のチャンポンめんの”顔”が見えませんし、そもそもの商品の魅力も正しくお伝え出来ません。と、いうわけで今回は最低限の色付けとして、刻みネギのみ適量ふりまいておきます。

    今回は刻みネギのみのトッピング。

     「鉄は熱いうちに打て」ならぬ「ラーメンは(麺が)のびないうちに食え」ということで早速いただきましょうモグモグ。

    麺は塩を使用していない「無塩製麺」を使用。

    播州の人間的にはチャンポンめんの白いスープがラーメンスープ。

     うんめー!エビとシイタケの“下味”の利いたまろやかな白いスープに、やわらかくも固くもない麺が絡んでいい感じ。ちなみに、イトメンのチャンポンめんに使用している麺は、塩を一切使用していない「無塩製麺」。それもあってか、よりダイレクトにスープの旨さが伝わるんです。

     そうそう、筆者は先ほど「トッピングはネギ」のみと申しましたが、追加でひとつだけ加えております。それは「海苔」。私が海苔好きというのもあるんですが、先述のまろやかな白いスープとの相性はベリーグッド。好みはあると思いますが、あくまで私の「推し」として今回ご紹介しておきます。いやあそれにしても、何度食べてもやっぱうめえなあこれはズルズル。

    追加トッピングで海苔を巻いて食べました。これが合うんですモグモグ。

     と、あっという間に完食してしまった。今回は試食のときの「おたくまスタイル(と、勝手に呼んでいます)」、空になった容器の姿も披露。筆者はラーメンのスープを飲み干すことは基本的にないのですが、ことチャンポンめんに対しては例外。それだけ飲みやすいともいえますね。

    あっという間に完食しました。

     そんな「チャンポンめん」ですが、袋麺以外にもカップラーメンとしても販売しております。こちらについては、袋麺のエビとシイタケ以外に、キャベツ・たまご・かまぼこ・ねぎの具材入り。また違った味わいとなっています。

    インスタントタイプも販売展開しています。

     そして今回の「チャンポンめん」以外にも、様々な麺類の商品を取り扱っているのがイトメンという企業。また聞くところによると、北陸でもなかなかのシェアを誇っているそうです。筆者の行きつけの飲食店の店主も以前北陸に住んでいた頃があるんですが、「イトメン?もちろん知ってるよ!」とのこと。なので、兵庫県に加え、北陸のスーパーではお目にかかれる可能性が高いと思います。

     その他の地域でも一部スーパーで取り扱いがあるとのことですが、2023年で販売60周年という「歴史的側面」から見ると少々寂しくもあります。それもあってか、近年イトメンではTwitterを始めとしたSNSで普及活動を実施。これはあくまで筆者の肌感レベルの話ですが、一時期よりは耳にする機会が増えた気がします。

     そんなちょっぴり「残念なロングセラー商品」なイトメンのチャンポンめん。当のイトメンも、それを逆手にとっての自虐キャンペーンを過去実施しておりましたが、しかし「元地元民」の筆者にとっては決して残念な商品ではありません。

     だって私には、子供のときのお昼ごはんで、チャンポンめんを食べたっていう思い出がありますので。

     ごちそうさまでした。

    (向山純平)

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