おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

アイラップが防災の日に注意喚起 誤った使用方法を紹介しないで

 9月1日は「防災の日」。この日は毎年、政府をはじめ様々な企業からも「防災」に関する呼びかけが行われています。

 しかしながら「災害への備え」というものは、「正しい知識」あってこそ。誤った知識のままいざという時行動を起こし、大失敗となってはもともこもありません。

 岩谷マテリアル株式会社が販売しているポリ袋「アイラップ」の公式Twitterでは、アイラップの使用方法について正しい知識を紹介することを「防災士、料理家」の人たちに向けて呼びかけています。

  •  アイラップの最も知られる特徴は耐熱温度が120度という点。また、1箱60枚入りで価格130円前後で販売されているお手頃感もあり、近年「袋調理」の道具として爆発的に注目されています。

    家庭用アイラップ

     このため防災士の中には、アイラップをつかった「炊飯」の仕方を紹介する人や、料理家の中にもアイラップをつかった調理法を紹介している人が存在しています。

     ところがアイラップ公式Twitterの話によれば、使用方法が適切でない場合が散見されるとのこと。

     例えば湯煎調理の場合には、底に耐熱皿(鍋肌に直接ふれさせない用)を置かずにそのまま調理し鍋肌に触れる方法を紹介しているケース、さらには「耐熱皿は不要」としている場合もあるそうです。

     いくらアイラップといえども、耐熱温度を超えれば溶けてしまいます。水の沸点は100度となっていますが、鍋肌温度の場合は設備や道具(火力がガスかIHか、鍋の素材)によってそれを超えることがあるからです。(参考:J-STAGE「平成22年度日本調理科学会大会」)

     こうした誤った調理方法を通じて何か起きた際には、調理法を紹介したした人のもとではなく、全く把握していなかったアイラップ側へとクレームが届くとのこと。編集部の取材に対し「会社への問い合わせやクレームが来ます」とアイラップTwitter担当社。

     つまりメーカーが推奨していない(発信すらしていない)誤った使用方法だけが一人歩きし、その責任全てがアイラップに押しつけられている状態。

     そこで今回の呼びかけの中では「鍋底の下は熱源です。しっかりと説明する責任を全てメーカー側へ負わせないでください」きつく注意喚起が行われています。

     一見すると厳しく感じるかもしれませんが、いざ災害がおきたときに誤った知識で炊飯をしてしまい、大失敗の末「食べられない」「食材を無駄にした」ということはあってはならない事態。それを避けさせ、アイラップのユーザーを守るために、厳しい注意喚起が行われています。

    ■ 商品によって「耐熱○」か「耐熱×」か異なる

     最後にもう一つ耐熱袋の注意点を。アイラップには「高密度ポリエチレン」という材料が使われています。この高密度ポリエチレンの商品なら「何でも耐熱性がある」という風に考えている方が多いかもしれませんが、実は商品の仕様(厚みや配合)により耐熱か否かが異なります。

     例えば今回のアイラップならば家庭用アイラップ(1箱60枚入り)は120度までの耐熱性となっていますが、これが同じアイラップでも業務用(400~1000枚入り)ならば「耐熱×」となっています。湯煎はもとより電子レンジでも業務用は使用不可です。

    業務用アイラップ

     当然のことですが、アイラップをはじめ商品の箱や商品ホームページには注意書が基本しっかり記されています。アイラップの箱の場合ならば、さらに湯煎方法や電子レンジで使用するときの方法、注意点なども。つい見落としがちな注意書ですが、ユーザーの方は使用する前に今一度確認を。

    <記事化協力>
    岩谷マテリアル株式会社・アイラップ公式Twitter(@i_wrap_officia)

    <参考>
    J-STAGE「平成22年度日本調理科学会大会

    (宮崎美和子)

    あわせて読みたい関連記事
  • 災害関連死ゼロを目指す「EDAN」発足 フィリップ モリスら民間団体が連携
    企業・サービス, 経済

    災害関連死ゼロを目指す「EDAN」発足 フィリップ モリスら民間団体が連携

  • 防災について学べる「巨大地震のサバイバル」
    アニメ/マンガ, イベント・キャンペーン

    朝日新聞出版、「巨大地震のサバイバル」を特別公開 防災の日を前にWEBで無料配信…

  • 「水害にあったときに」~浸水被害からの生活再建の手引き~
    インターネット, 社会・物議

    豪雨被害の中で頼れる一冊 「水害にあったときに」が行動の道しるべに

  • 元自衛官が「背負いやすいリュックの詰め方」を解説 災害時の“逃げやすさ”に直結
    インターネット, 雑学・コラム

    元自衛官が「背負いやすいリュックの詰め方」を紹介 災害時の“逃げやすさ”に直結

  • 岩谷マテリアル、「アイラップ」偽装販売に怒り 箱すり替え事例も
    インターネット, 社会・物議

    岩谷マテリアル、「アイラップ」偽装販売に怒り 箱すり替え事例も

  • 3センチほどある釘
    インターネット, 社会・物議

    靴底に刺さった小さな釘にゾッ……消防士が身を持って教える「足元の危険」

  • 画像提供:カワイピアノ公式X(@Kawai_Japan)
    インターネット, 社会・物議

    地震が来たらピアノの下は絶対NG!カワイピアノが注意喚起

  • 「アイラップ」類似品の流通にイワタニが注意喚起、正規品の見分け方も説明
    社会, 経済

    「アイラップ」類似品の流通にイワタニが注意喚起、正規品の見分け方も説明

  • 防災意識の高まりについて
    企業・サービス, 経済

    KDDIが防災とスマホに関する調査 半数以上が災害に備えてスマホの見直し検討

  • 防災意識は高まっても備えは不足?経験者と非経験者のギャップ 第一三共が調査
    企業・サービス, 経済

    防災意識は高まっても備えは不足?経験者と非経験者のギャップ 第一三共が調査

  • おたくま編集部Editor

    記事一覧

    おたくま経済新聞・編集部による監修or執筆

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • 松浦勝人会長「月1時間で100万円」“松浦顧問制度”始動 応募殺到で定員の5倍超え
    エンタメ, 芸能人

    松浦勝人会長「月1時間で100万円」“松浦顧問制度”始動 応募殺到で定員の5倍超…

  • 「金曜ロードショー」40周年
    エンタメ, 映画

    金曜ロードショー、40周年を記念した豪華2時間SP 国民が選ぶ名場面集

  • 新商品「クリスピーピザポテト チーズチーズチーズ」
    商品・物販, 経済

    ピザポテトが進化!チーズ2倍「クリスピーピザポテト」期間限定で発売

  • 魔改造カップヌードル
    商品・物販, 経済

    日清食品「魔改造カップヌードル」4品を新発売 定番フレーバーを背徳アレンジ

  • 企業と株主対立を“見える化” ストラテジックキャピタル、ガンホー批判サイト公開
    社会, 経済

    企業と株主対立を“見える化” ストラテジックキャピタル、ガンホー批判サイト公開

  • 無料クーポンリレー
    イベント・キャンペーン, 経済

    ファミリーマート、ファミペイ新規登録者向け「無料クーポンリレー」開始へ

  • トピックス

    1. お笑いコンビ・アインシュタインの稲田直樹さんの公式X

      アインシュタイン稲田の“潔白”が証明された日 暴露文化とSNS拡散が残したもの

      お笑いコンビ・アインシュタインの稲田直樹さんのInstagramが不正にログインされ、卑猥なやり取り…
    2. 【体験レポ】「落とし物:黒い封筒」を開封してみた 自宅で本当に心霊現象が起きる?一夜のゾク体験

      【体験レポ】「落とし物:黒い封筒」を開封してみた 自宅で本当に心霊現象が起きる?一夜のゾク体験

      ホラーイベント「笑える事故物件 笑えない事故物件」公式グッズの体験型キット「落とし物:黒い封筒」を体…
    3. 丼にサンマが丸ごと横たわる衝撃 牛角の「秋刀魚ラーメン」実食レポ

      丼にサンマが丸ごと横たわる衝撃 牛角の「秋刀魚ラーメン」実食レポ

      焼き肉チェーンの牛角は9月4日より、サンマを丸ごと一尾のせた「牛角流秋刀魚ラーメン」を販売しています…

    編集部おすすめ

    1. 松浦勝人会長「月1時間で100万円」“松浦顧問制度”始動 応募殺到で定員の5倍超え

      松浦勝人会長「月1時間で100万円」“松浦顧問制度”始動 応募殺到で定員の5倍超え

      エイベックスの松浦勝人会長は9月4日、自身のX(旧Twitter)で新たに「松浦顧問制度 シーズン1」を立ち上げたことを報告した。内容は「月…
    2. 「なんかやってる」4羽の文鳥 まるで連続写真?

      「なんかやってる」4羽の文鳥 まるで連続写真?

      「なんかやってる……」Xで飼い主さんにこうつぶやかれたのは、4羽の白文鳥さんたち。添えられた写真には、4羽が棚の上に連なって集まり、まるで連…
    3. 法事でオリジナルTシャツ!?音楽フェスのような斬新な引き出物が話題

      法事で配られた家紋&没年入りTシャツが話題 “フェス感”漂うセンスに爆笑

      法事の引き出物(お返し)といえばお菓子やカタログギフトが王道ではないでしょうか。しかしときには予想だにしない品をもらうこともあるようで……。…
    4. 災害関連死ゼロを目指す「EDAN」発足 フィリップ モリスら民間団体が連携

      災害関連死ゼロを目指す「EDAN」発足 フィリップ モリスら民間団体が連携

      フィリップ モリス ジャパン(PMJ)が、全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)と共同で、避難生活に特化した支援ネットワーク…
    5. 「週刊文春」2025年9月4日号(8月28日発売)

      週刊文春、最新号表紙は「白紙」 48年続いた和田誠さんの表紙絵に幕

      総合週刊誌「週刊文春」は、2025年8月28日発売の9月4日号で48年間にわたり表紙を飾り続けたイラストレーター・和田誠さんの絵を終了し、大…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト