北極海での海洋観測航海を行っている、海洋研究開発機構(JAMSTEC)の海洋地球研究船「みらい」。Twitterを通じて船内をはじめとする航海の様子を伝えているのですが、2021年10月13日の投稿では船内の娯楽室を紹介。なぜか「進撃の巨人」第10巻がずっと行方不明であることを明らかにしました。

 海洋研究開発機構は神奈川県横須賀市に本部がある、海洋観測等を通じて地球のありようを研究する国立研究開発法人。一般には有人潜水調査船「しんかい6500」がよく知られていますが、深海探査だけでなくさまざまな船舶やスーパーコンピュータ「地球シミュレータ」などを保有し、海洋や海底の調査、地震や津波の防災研究、地球環境変動の統合的理解とその予測をしています。

 今回、公式Twitterアカウントで取り上げられたのは、海洋地球研究船「みらい」。もともとは日本初の原子力船「むつ」として完成し、原子炉を撤去されて通常のディーゼル機関船へと改修されたのち、JAMSTECの研究船となりました。

 全長128.5m、総トン数8706トンと世界最大級の大型海洋観測船であり、優れた耐氷性・航行性を有する「みらい」。この特長を活用し、北極海や太平洋、インド洋などでの広域かつ長期の海洋調査を中心とした観測研究を実施しています。

 海洋地球研究船「みらい」は、2021年8月31日に静岡県の清水港を出港し、毎年恒例の北極航海に出ました。9月上旬にはベーリング海峡を通過し、北極海へ。約20日間かけて北極海で活動し、海水や大気中のエアロゾル(浮遊粒子)などのサンプルを採集したほか、数か月~数年の長期にわたって海洋環境の変化を観測する係留観測機器などの設置を行なっています。

 JAMSTEC公式Twitterアカウントでは、この「みらい」北極観測航海を「#みらい北極航海2021」のハッシュタグをつけて毎日発信。観測の様子や船内の設備について紹介しています。

 その中で、10月13日に投稿されたのが「みらい」の娯楽室。船内には本が並ぶ洋室と、各種DVDが置かれている畳敷きの和室の2部屋があります。

 本棚には波浪による動揺で本が散乱しないよう、横に棒がわたされているのが特徴。また、引き戸付きの本棚もあります。長い航海、季節は秋ですが飽きの来ることがないように、図書は漫画をはじめ様々なジャンルのものが揃っているそうなのですが、なぜか「進撃の巨人」でウトガルド城の戦いを描いた第10巻だけが、ずっと行方不明なのだとか……。

本が並ぶ「みらい」洋室(国立研究開発法人 海洋研究開発機構提供)

 ツイートに添えられた写真で、人物が本を読んでいる机は正方形で、上にはラシャが貼られています。もしやと思い、JAMSTECの広報に問い合わせたところ「お察しの通り、麻雀卓です」とのこと。麻雀もレクリエーションの1つのようです。古びているので、どなたからか寄贈されたものでしょうか。

 和室の方には数多くのDVDが揃っています。これだけ多ければ、飽きることはなさそうです。写真の左側には押入れのフスマが写っているのですが……なぜかドラえもんのように入っている人物の姿も見えます。

DVDが並ぶ「みらい」和室(国立研究開発法人 海洋研究開発機構提供)

 それほど広い部屋ではないので、乗り組んでいる方はここから本などを借りて、自室で楽しんでいるようです。ひょっとしたら行方不明の「進撃の巨人」第10巻も、どこかの部屋で眠っているのかもしれませんね。

※初出時、法人名を「海洋研究開発機構」とするところ、一部の表記が「海洋開発研究機構」となっていました。お詫びして訂正いたします。

<記事化協力>
国立研究開発法人 海洋研究開発機構(@JAMSTEC_PR)
※見出し画像は国立研究開発法人 海洋研究開発機構公式Twitterからのスクリーンショットです

(咲村珠樹)