画家の三賀(みか)亮介さんは、主に色鉛筆を用いて、自然風景や何気ない日常を描いています。

 「その場の音・匂い・空気感、そして自然から感じるエネルギーや表情を読み取り、雰囲気に合う色やタッチで描いています」という作風は、自身の五感で感じたものを投影。

 これまでの3年半にわたる活動の中で、先日は初期作品「鯉」をTwitterで紹介しました。

 「『鯉』は水の表現に苦労して、それ(水)を描かずに伝えることに苦戦しましたね」

 制作当時を述懐しながら、作品について語ってくれた三賀さん。

 その言葉通り、色鮮やかな鯉たちが表現されていますが、明確な「水」が描かれているわけではありません。

 しかしながら、鯉たちの下にある無数の石や苔、日中の日差しを浴びたような影、そして、池を覗き込む「誰か」が想像できそうな石段を描くことで、結果として「池の中で優雅に泳ぐ鯉たち」を伝えることに。そのリアルさには、多くのTwitterユーザーが驚きの反応を示しています。

 なお、先述の通り、本作「鯉」は活動初期の作品。現在はやや異なる作風になっているそうです。

 「初期の頃は、とにかく観た通りの『リアル』に描くことにこだわっていました。ただ最近では、より自分のイメージを大切にし、『臨場感』を意識したものにしています。私は元々大学で日本画を専攻していたのですが、『手軽で様々な表現が可能』な色鉛筆の魅力を知り、今はそれならではの世界観を追求しています」

初期作品「鯉」から様々な変化があったという三賀さん。

自身のイメージと臨場感。2つの要素が加わったそれは作品に深みを増しました。

 三賀さんは、今年(2022年)3月に大阪芸術大学を卒業し、現在は主に関東圏のギャラリーで作品を発表しています。さらに「イロドリアル」という、自身と同じく色鉛筆画家たちが集結したユニットでも活動中。これからも色鉛筆画の魅力を広く伝えていくそうです。

<記事化協力>
三賀 亮介さん(@3ryocp)

(向山純平)