様々なものをミニチュア化したジオラマの中には、瓶やケース、本といった一定の大きさを持つものを使い、限られた容積に要素を組み込んでいく、という手法があります。
ワインのボトルにつきもののコルク栓。指1、2本ほどの大きさですが、その中をくり抜き、小さな部屋を作ってしまうジオラマ作家「こびと屋」さん。作品について話をうかがいました。
元々はドールハウスを作った際、自分で色付けしたジオラマ人形を置いたのがジオラマづくりのきっかけになったという、こびと屋さん。100円ショップでコルク栓が目に入り「これでジオラマを作ったら可愛いのでは?」と、現在の作品制作に繋がっていったそうです。
ミニチュアのジオラマを作るようになり「気づいたら4年ほど経っています」という作家歴ですが、小さな空間にギュッと要素を盛り込んでいるので、なかなか設計は大変そう。下絵までは用意しないそうですが「大体の構想を文字には残しています」と話してくれました。
コルク栓は芯まで中身が詰まっているので、最初の作業はコルクをくり抜くこと。「とりあえずペンチでむしれる所までむしって、細かい部分はカッターやリューターなどを使って調整します」とのことで、コルクの地肌もあいまって、地下室や荒い漆喰仕上げの壁といった雰囲気。
この空間の中に収まるよう、ミニチュアの家具や調度品を作って設置していきます。1ミリ寸法が違うだけで違和感が出てしまうので、サイズ調整は大変そう。
彩色はアクリルが基本だそうですが、透明感や光沢が必要になるガラス窓はレジン、質感を出したい時は樹脂塗料など、場所に応じて使い分けをしているそうです。作品が完成するまでは10日以上を要するとのこと。
こびと屋さんは「モチーフというのは特に考えたことがなく、その時に自分が可愛いと思うものを作っています」と語ります。その時の思いを込めて色々な作品が生まれていきますが、中に配置するジオラマ人形については、羽が生えたものを多く作ってしまうんだとか。
羽の形も様々で、妖精のようなものから鳥の羽を思わせるものまでと、ファンタジー作品の雰囲気を感じさせます。羽根に装飾をつけたものもあり、どのような世界に生きているのか、想像してみたくなりますね。
まだまだコルクのジオラマには構想があるそうで「コルクのジオラマをシリーズ化していきたいです」と話すこびと屋さん。作品を見て、小さな秘密の空間に広がるストーリーを夢想してみるのも、悪くないかもしれません。
コルクの中に部屋が出来ます pic.twitter.com/OQJGIwYXvG
— こびと屋 (@cobtoya) June 22, 2022
<記事化協力>
こびと屋さん(@cobtoya)
(咲村珠樹)