世界各国で広く用いられている記録メディア「CD(コンパクトディスク)」。
1982年の発売から40年が経ち、様々な代替媒体に置き換えられるようになりましたが、依然として登場頻度は少なくありません。
一方で、「40年」という月日からくる様々な「経年劣化」も発生してきています。その様子を紹介したTwitterユーザー・taraさんの投稿に注目が集まっています。
「これが噂に聞いていたCDの劣化というものかぁ。
これは実家にあったCDで、西ドイツ製だから1990年よりも前に生産されたCDと思われます。
多数のコレクションが聴けなくなったと父は嘆いていました」
3枚の写真とともに、上記のつぶやきをしたtaraさん。病床の父のために、実家にある洋楽CDを探したのが、きっかけだったといいます。
しかし取り出したCDは、表面の光沢の一部が劣化し、全体に小さな斑点が点在していました。劣化した部分を接写した2枚目では、透明になってしまったCDがくっきり。
これは中々衝撃的な画像。しかし、投稿者のtaraさんは「『CDが劣化する』とは聞いていましたし、ネットで検索をすれば(劣化)画像がたくさん出てくるので、目新しいものを撮ったという意識もなく、このような反響は正直びっくりです」と語っており、今回のCD劣化よりも反響の大きさの方に驚いていました。
実はCDの寿命は、10年から30年と言われています。そして、つぶやきにもある通り、taraさんがTwitterに投稿したCDは、1980年代に海外で生産されたもの。つまり、多めに見積もったとしても、既に寿命を迎えてしまっています。
ところで、CDの生産枚数が最多だったのは、2000年の2億7000万枚(日本レコード協会調べ)です。1990年代は、「ミリオンセラー」という言葉を頻繁に耳にするほど、CDという存在が社会に強い影響を与えた全盛期でした。それを鑑みると、taraさんが今回遭遇した出来事は、今後多くの家庭で起こりうる可能性が高い話しです。
CDが劣化する理由には、いくつかの原因があります。「スポンジの結着」「湿度」「直射日光」「傷」などです。
緩衝材として、2枚組で売られているタイプで内包されているスポンジですが、これはあくまで運送の際の破損を考慮してのもの。普段使いをする際には不要になるのですが、廃棄を怠った結果、湿気などで加水分解がなされて、CDに結着するという事象が生じています。ちなみにtaraさんの投稿したCDも同様だったそうで、後の投稿では、父が以前に取り除いた形跡を報告しています。
また湿気については、世界的に見て多湿な気候である日本では、とりわけ注意が必要なポイント。本稿執筆時点のような7月ですと、自家用車内でCDで音楽を楽しまれる方も多いかと思いますが、クーラーのついていない車内のダッシュボードに保管をするのも非常にリスクがあります。
一定の温度・湿度内で保管したとしても、直射日光にはくれぐれも留意が必要です。DVDやブルーレイなども含めて、ディスクの記録面は日光に弱い部分。加えて「暗所」を探して保管が望ましいです。
と、対策をあげましたが、しかしながらこれらは、残念ながら「一時しのぎ」でしかありません。先のDVDやパソコンやスマートフォンなどへ、早期にデータを“焼く”ことが一番の解決方法ともいえるかもしれません。
「今回の投稿で、記憶媒体の在り方や古いCDをコレクションをする方への注意喚起につながれば何よりですね」
編集部の取材に対し、taraさんは最後にそのように振り返られています。
これが噂に聞いていたCDの劣化というものかぁ。
これは実家にあったCDで、西ドイツ製だから1990年よりも前に生産されたCDと思われます。
多数のコレクションが聴けなくなったと父は嘆いていました。#CD劣化 pic.twitter.com/YolwTRRDVk— tara (@tara72062500) July 5, 2022
劣化したCDにアルミテープを貼ると聴けるようになると言うコメントを頂いたからやってみたけどダメでした。
当たり前かぁ。ウレタンスポンジの件は、確かにそれらしいカケラがケース内に入っていました。
父が取り外したのかも知れません。#CD劣化 pic.twitter.com/C13Od2SQ37
— tara (@tara72062500) July 9, 2022
<記事化協力>
taraさん(@tara72062500)
(向山純平)