風景写真や鉄道写真、飛行機写真には有名な「撮影スポット」があり、時に多くの撮影者が集まります。そんな時、しばしば目につくのが道路脇の違法駐車。ひどい場合には地元住民の迷惑になるケースも。

 違法駐車を見とがめられ、トラブルに発展するケースも少なくありません。こんな時、ちょっと言い方を変えることで相手の態度が軟化することがあると、ある風景写真家がツイートしています。

 投稿者の星野翔さんは、関東や信州を中心に森のさまざまな表情を撮影している風景写真家。2022年7月1日~7月31日には、長野県の志賀高原フォトグラファーズセンターで個展「AMBIENT」を開催し、同名の写真集も出版しています。

 星野さんがツイートで示したのは、次のような方法。

 「撮影地で駐停車禁止のとこに車停めてる人いたら『ここ停めちゃだめですよ』じゃなくて『さっき俺もここ停めてたらめっちゃ怒られたんであっち停めるといいですよ』って教えてあげてる。口論にならず毎回『ありがとうねー!』で終わる。嘘も方便」

 正面から違法駐車をとがめるのではなく、あくまでも「自分もやらかしたので」と同じ立場だという嘘の設定にして、自分と同じ目に遭わないようアドバイスするというもの。心理学でいうところの「共感」により、違法駐車した側にとっての「敵」ではないと認識してもらい、話をスムーズに運ぶ方法です。

 なお、この「共感」をもとにした考え方は、ほかの場面で人に注意をする際に役立ちます。失敗をただ「ダメじゃないか!」となじるよりは、相手の気持ちに寄り添って「自分も昔はこんな失敗したよ」と付け加えることで、注意された人の落ち込みや精神的な萎縮が軽くなるかもしれません。

 星野さんに話をうかがうと、このツイートは啓発や注意を目的としたものではなく、単に思ったことをふと呟いたものとのこと。実際に「あっち停めるといいですよ」と発言した際には、そのすぐ近くに駐車場があり、そこならば問題視されずに済みますよ、という形のアドバイスだったそうです。

 もちろん、星野さんもあえて違法駐車している人と関わるよりは、警察に通報して取り締まってもらう方が手っ取り早いことは承知しています。違法駐車の車が多数であれば警察を呼んだ方が早いですし、違法駐車の主が物騒な人物であれば、要らぬトラブルを自分から招いてしまいます。

 しかし、警察の到着を待つより、まずその場の違法駐車状態を解消することが優先される場合もあり、そういう場面での選択肢として頭の隅に置いておくといい、ということですね。

 星野さんはTwitterに作品の一部をアップしているほか、公式サイトでは作品のオリジナルプリント、写真集を販売しています。スローシャッターを使った水の流れやさまざまな姿をした樹木、もやに包まれた神秘的な情景など、森の息遣いが聞こえてくるような作品に圧倒されることでしょう。

<記事化協力>
星野翔さん(@shochacamera)

(咲村珠樹)