接客業における基本である「挨拶」。「いらっしゃいませ」「ありがとうございます」といった用語はどの企業においてもおそらく共通しているものと思いますが、その「言い方」については千差万別。時に個性的すぎる発声をする店員さんに、遭遇したことはないでしょうか?

■ 個性的すぎる発声の店員さんはベテランが多い?

 例を挙げるとすれば、以下のようなもの。実在する店員さんを観察したものです。

「あーりがとーございまぁ~したぁ~イアイ!!」(コンビニ:30代くらいのベテラン男性/最後のイアイは謎)

「(レジを指さし確認+車掌風の発声で)お会計はぁ~○○○円になりま~す」(薬局:もう3年はいるベテラン男性/もしかすると元鉄道関係者?)

 元気が良かったり、丁寧に対応しようとする気持ちはよく伝わってくるのですが、あまりに個性的すぎるとついクスッとしてしまいますよね。コンビニや薬局だけでなく、特にガソリンスタンドやラーメン店でも、個性的な挨拶をよく耳にします。

 こうした挨拶は、大体が社歴がそこそこあるベテランの店員によるものと思います。筆者もながらくアパレル店に勤めていましたが、だれでも入社したての頃は慣れなかったり緊張したりで、挨拶もマニュアル通りこなそうとするもの。

 これが徐々に薄れていくことで、いつの間にか挨拶にも独自のアレンジが加えられるように。周囲の影響だったり、前職のクセが出てしまったりするなどして、個性的な発声が出来上がっていくのです。

■ 挨拶は個性的でも、仕事はしっかりこなす人が多い印象

 「らあーっしゃっせー!(いらっしゃいませ)」「あーっしたー!(ありがとうございました)」といった威勢のいい挨拶はまだ原形をとどめているため何とか分かりますが、筆者の中で最も衝撃的だったのが、社員時代に異動してきた店長の発声。

 新しい店長はどんな人なんだろう?と、期待に胸を膨らませつつ売場で観察していると……

 「……っせー」

 いや声小っさ!しかも「いらっしゃいま」はどこいった?と驚愕。しかも社員の手本であるべき店長がこれでいいのか?と疑問に思ったものです。筆者自身もどちらかと言えば元気をウリにしていたタイプだったので……。

 しかしながら、発声がちょっぴり苦手なだけで、物腰はとても柔らかく、一対一の場面ではとても丁寧な接客。従業員に対しても分け隔てなく接する非常に良い店長でした。これにはさすが店長、と感心したものです。

 つまり、挨拶等の発声に多少クセがあろうとも、接客態度や仕事の出来不出来とは因果関係がなく、むしろ歴が長いため、何かを尋ねた時も的確な答えを返してくれる方が多い、という印象を持っています。

 「人は見た目によらない」という言葉があるように、挨拶が出来ていないという理由だけで、その人となりを判断してしまうのは少し軽率かもしれません。もしもあなたの身の回りに個性的な挨拶をする店員さんがいたら、ぜひ注目してみてくださいね。

※画像はイラストACより。加工は編集部にて実施。

(山口弘剛)