近年、インターネットの普及により、アパートやマンションを簡単に探せるようになりました。

 しかし、検索をしていると、妙に家賃が安かったり、いつまでも空室のままの物件を見かけることがあります。そんなとき、「この物件、大丈夫?」と疑念を抱く方も多いのではないでしょうか。

 実は、それらの物件の中には、いわゆる「訳あり物件」、つまり「事故物件」が含まれている可能性があります。

 ということで今回、不動産営業マンもやっている筆者が、そんな「訳あり物件」を探す方法をご紹介します。

 これを知っていれば「そんな物件住みたくない」という人には避ける手段に、逆に「訳あり物件に住んでみたい」という人には物件探しに役立つはずです。

■ 訳ありの物件とは

 「訳あり物件」とは、あくまで通称であり、法的な名称ではないため、明確な定義はありません。しかし、一般的には「自殺」「他殺」「火災」などで借主が死亡した物件を指すことが多いです。

 また、周辺に火葬場、葬儀場、墓地などがある場合、それが事前に告知されることもあります。ただし、「墓地」などはよく見かける場所であり、捉え方に個人差があるため、特に告知されないことも多いです。

 ただし、「自殺」「他殺」「火災」などのケースは、心理的瑕疵が大きいため、告知義務があります。そのため、宅建業者から内覧前にその情報を知らされることが多いです。

 とはいえ、できれば問い合わせる前にその「訳あり物件」であることを知っておきたい方は多いのではないでしょうか。

 問い合わせる前に知る方法は?

 答えは、あります。

■ どうやって探す?

 宅建業者に問い合わせる前に訳ありの「事故物件」を探す方法はいくつか存在しています。

1.物件情報サイトで「告知事項あり」のフリーワード検索を行う

 物件情報サイトで「告知事項あり」のフリーワード検索を行う方法があります。

告知事項ありの物件

 「告知事項」ありとは、物件に関して何らかの特別な事情があることを示しており、「訳あり物件」である可能性が考えられます。

 ただし、すべての物件が必ず告知されるわけではありません。たとえば、心理的瑕疵が比較的小さい場合や、告知義務の対象でない場合には告知されないこともあります。

よって、この方法はあくまで「訳ありの“可能性がある”物件を見つける」手段だと考えてください。

2.「大島てる」など、情報共有サイトで確認する

 次に、その物件で何が起きたかを知りたい場合は、「事故物件」情報の鉄板サイト「大島てる」を利用するのが有効です。

大島てるのサイト

 「大島てる」では、過去に起きた事件や事故などに関する情報を確認できます。ただし、掲載されている情報はユーザーからの投稿が主なため、情報の正確性に不確かな部分もあります。そのため、あくまで「そのような噂がある」という程度にとどめておくのが無難。
 
 そして、1と2を組み合わせて調べることで、“「訳あり物件」がある可能性のある物件”を効率的に探し出すことができます。

 また、「家賃が他の部屋よりもいくらか安くなっている」という点も、不審に思うべきポイント。ただし、必ずしも家賃が下がるというわけではなく、最終的には大家の判断となります。

■ 「訳あり物件」を見に行ってみた

 こうして見つけた「訳あり物件」。もちろん内覧することが可能です。

 通常通り、宅建業者に連絡を取り、内覧希望を伝えると訳あり物件の「告知事項」詳細について教えてくれます。

 今回見に行った物件は、前の借主が、一人哀しく「孤独死」された物件。

 では室内はどんな状態かというと、なんて事はない普通の綺麗なお部屋なのです。ドアの奥に、さりげなく置かれている「消臭剤」だけが、何かあったことを物語っていました。

告知事項ありの物件

 少し拍子抜けするかもしれませんが、賃貸物件の住人が退去すると、多くの場合、次の人にそのまま引き渡されるのではなく、「清掃」が行われ、必要に応じて「リフォーム」が施されます。そのため、見た目は全く問題なく、むしろ豪華になっていることもあります。

 ただ、「訳あり物件」なので、気になる人にとっては、いくら綺麗でもダメなものはダメ。ということで必ず「告知」をするのです。

 ちなみに今回紹介した部屋は、筆者本人が現在借りている「告知事項」ありの「訳あり物件」です。

■ 過去にヤバい問題はなかったのか?

 さて、最後にみなさまが想像する、事件・事故が起きてそのままの状態である、いわゆる「ヤバ目の物件」がないかという点について。

 結論をいえば、世間一般的に募集されている物件の中で、「ヤバ目の物件」は巡り合う事は難しいです。

 というのも、通常であれば、事件・事故が起きた後は、物件を管理する「管理会社」が綺麗に清掃を行います。その上で募集するため、散々たる状態のまま募集する事はありえない。というか、そもそもそんな状態で募集をかけたら、大問題となります。

 しかし、その「管理会社」の人間であれば、その状態を目にする事は当然あります。

 過去に管理会社の社員から聞いた話では、事故が起きた部屋に立ち会いのため入室したところ、おびただしいハエと、血飛沫、腐敗臭が漂っていたといいます。

 今まで管理をしてきて、ここまで酷い状態は初めてだったというから、管理会社でさえも、そのままの状態はなかなか巡り会えないのでしょう。そして、その、独特の香りと惨状は、今でも忘れられないのだといいます。

 以上を踏まえると、現段階で「訳あり物件」に出会う為には、ネット上である程度探す方法はある。とはいえ、告知義務も3年を超えるとしなくなるケースが多いので、理論上過去に「訳あり物件」だった物件に住む可能性もゼロではなくなります。

 それをどう捉えるかは、借主様であるみなさま次第ということになります。

<参考・引用>
SUUMO
大島てる

(たまちゃん)