「うちの本棚」、今回は園田光慶作品の中でも珍しい『ザ・ゴリラ7』をご紹介します。アクション系のテレビドラマのコミカライズ作品であり、アクションシーンに定評のある園田だからこその起用だったのではないかと思われます。
本書『ザ・ゴリラ7』は、東映制作で当時NET系で放映されていたドラマのコミカライズ作品である。ドラマでは千葉真一が主演し、志保美悦子や歌手のにしきのあきらなどが共演していた。
コミカライズ版の本書はドラマ放映に合わせて刊行されたもので、おそらく描き下ろしだろう。正直同じ園田の作品とも思われない画面構成で、描き込みも少ない。収録されたエピソードも放映されたサブタイトルと同じ物があり、原作としてクレジットされているのもその話数のシナリオライターである。放映中盤の16~18話を中心に取り上げていることからも、ドラマ放映に合わせた刊行ということがうかがえる。そのことからもコミック版の制作スケジュールもタイトなものだったのではないかと推測され、園田作品らしい描き込みもできなかったのかもしれない。残念ながらドラマの方は未見なのでどこまでドラマの雰囲気を再現しているかはわからないが、主役に当たる風見大介以外の「ゴリラ」のメンバーたちが活躍している点ではなかなか面白い作品に仕上がっているといっていいだろう。強いて言えば女性メンバーの活躍が少ないのが寂しいところではある。
単行本はKKベストブック社「BigBirdComics」から全2巻で刊行されたほか、文庫版という記載がネットオークション上で確認できるが、実物は確認していない。園田作品の中ではレアなもののひとつであることには変わりないといえるだろう。
書 名/ザ・ゴリラ7
著者名/園田光慶(原作・江連 卓、曽田博久、流 和也、新井 光)
出版元/KKベストブック
判 型/新書判
定 価/各450円
シリーズ名/BigBirdComics
初版発行日/1巻・昭和50年7月10日、2巻・昭和50年8月20日
収録作品/1巻・PART1 明日なきジャガー、PART2 警察で罠をはれ、
2巻・PARTⅠ 許せぬやつらに花束を、PARTⅡ 大泥棒弟子入り志願、PARTⅢ 軍用拳銃密売人
(文:猫目ユウ / http://suzukaze-ya.jimdo.com/)