今回の「うちの本棚」でご紹介するのは、ジョージ秋山の単行本の中でもレアな印象の強い『コンピューたん』です。ロボットの少年が主人公のギャグ漫画ですが、ジョージ秋山らしい哀愁のあるエピソードも描かれています。
ジョージ秋山の単行本の中でもレアな部類に入るのが、この『コンピューたん』ではないかと思う。
主人公はロボットの少年で、そのとぼけた(?)行動に周囲が振り回されるなどして笑いへとつながるのが基本的な内容。印象的なのが、主人公である「コンピューたん」のセリフがテープ出力の文字情報になっている点。コンピューターにモニター画面や音声出力がまだ普及していなかった時代でもあり、マンガだからといって安易に言葉を話させないところはジョージ秋山らしいともいえるだろう。
開始当初は、コンピュータの正直さが仇となったりして、泥棒の手助けをしてしまったり、その行動や言動による面白さがメインになっているが、しだいにコンピューたんが出会う人間たちの言動から哀愁のある展開を見せたりもする。これは後の『よたろう』などにもつながっていく展開ではないだろうか。
また「ロボットはつらいよ」というエピソードで、コンピューたんが作る大型ロボットの頭部が『ザ・ムーン』に酷似していることも触れておこう。
ジョージ秋山は昭和50年代にも『ピコピコロボベエ』というロボットの登場する作品を「冒険王」に連載している。『コンピューたん』がそういった作品の原点になっているのは間違いないだろう。
書 名/コンピューたん
著者名/ジョージ秋山
出版元/少年画報社
判 型/新書判
定 価/240円
シリーズ名/ヒットコミックス
初版発行日/昭和45年8月15日
収録作品/コンピューたん(全16話収録)
(文:猫目ユウ / http://suzukaze-ya.jimdo.com/)