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【うちの本棚】第百三十六回 コンピューたん/ジョージ秋山

【うちの本棚】第百三十六回 コンピューたん/ジョージ秋山今回の「うちの本棚」でご紹介するのは、ジョージ秋山の単行本の中でもレアな印象の強い『コンピューたん』です。ロボットの少年が主人公のギャグ漫画ですが、ジョージ秋山らしい哀愁のあるエピソードも描かれています。


  • 【関連:第百三十五回 灰になる少年/ジョージ秋山】

     

    ジョージ秋山の単行本の中でもレアな部類に入るのが、この『コンピューたん』ではないかと思う。

    主人公はロボットの少年で、そのとぼけた(?)行動に周囲が振り回されるなどして笑いへとつながるのが基本的な内容。印象的なのが、主人公である「コンピューたん」のセリフがテープ出力の文字情報になっている点。コンピューターにモニター画面や音声出力がまだ普及していなかった時代でもあり、マンガだからといって安易に言葉を話させないところはジョージ秋山らしいともいえるだろう。

    開始当初は、コンピュータの正直さが仇となったりして、泥棒の手助けをしてしまったり、その行動や言動による面白さがメインになっているが、しだいにコンピューたんが出会う人間たちの言動から哀愁のある展開を見せたりもする。これは後の『よたろう』などにもつながっていく展開ではないだろうか。

    また「ロボットはつらいよ」というエピソードで、コンピューたんが作る大型ロボットの頭部が『ザ・ムーン』に酷似していることも触れておこう。

    ジョージ秋山は昭和50年代にも『ピコピコロボベエ』というロボットの登場する作品を「冒険王」に連載している。『コンピューたん』がそういった作品の原点になっているのは間違いないだろう。

    書 名/コンピューたん
    著者名/ジョージ秋山
    出版元/少年画報社
    判 型/新書判
    定 価/240円
    シリーズ名/ヒットコミックス
    初版発行日/昭和45年8月15日
    収録作品/コンピューたん(全16話収録)

    (文:猫目ユウ / http://suzukaze-ya.jimdo.com/

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    フリーライター。ライター集団「涼風家[SUZUKAZE-YA]」の中心メンバー。
    『ニューハーフという生き方』『AV女優の裏(共著)』などの単行本あり。
    女性向けのセックス情報誌やレディースコミックを中心に「GON!」等のサブカルチャー誌にも執筆。ヲタクな記事は「comic GON!」に掲載していたほか、ブログでも漫画や映画に関する記事を掲載中。
    本コラム「うちの本棚」は作者・テーマ別にして「ブクログのパブー」から電子書籍として刊行しています。
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