イギリスの空母クイーン・エリザベスが、地中海でフランス空母シャルル・ド・ゴールと初の共同訓練「ガリック・ストライク」を2021年6月1日~4日の日程で実施しました。双方の空母打撃群にはアメリカ、イタリア、オランダなどの艦艇も参加しており、NATOの艦隊を含め多国籍の部隊同士が協力する貴重な機会となりました。
就役後初の任務航海に出ている空母クイーン・エリザベス。この空母打撃群にはイギリス海軍艦艇のほか、アメリカ海軍の駆逐艦ザ・サリバンズ、オランダ海軍フリゲートのエヴェルトセン、イタリア海軍の駆逐艦アンドレア・ドーリアが参加しています。
一方、フランス海軍の空母シャルル・ド・ゴールは、2月に始まった中東地域への遠征航海「クレマンソー21」を終え、地中海へと戻ってきたところ。こちらの空母打撃群には、アメリカ海軍の駆逐艦トーマス・ハドナーが加わって訓練に参加しました。
共同訓練「ガリック・ストライク(Gallic Strike)」の主眼は、2つの空母打撃群が一体となって任務にあたる際の連携能力や相互運用性を高めること。特にイギリスの空母クイーン・エリザベスにとっては完全作戦能力の獲得後、初めてほかの空母と連携する機会となります。
この訓練では、イギリスのトニー・レダキン第一海軍卿、フランスのピエール・ヴァンディエ海軍参謀総長、アメリカのマイケル・ギルディ海軍作戦部長という、各海軍の制服組トップが英仏双方の空母を訪問。将来のパートナーシップについて話し合われました。
会談を終えたラダキン第一海軍卿は「今日の3か国会談は、NATOで原子力艦艇と空母を運用するイギリス、フランス、アメリカがNATOへのコミットメントを共有し、より一層の相互運用性や互換性を高めることを互いに確認し合うことができました。イギリス海軍の第21空母打撃群(クイーン・エリザベス)の遠征航海は、イギリス海軍の空母がNATOの空母として、加盟国の戦闘機や駆逐艦、フリゲートと一体となって活動することを明確に示すものです」とのコメントを発表しています。
フランスのシャルル・ド・ゴール空母打撃群司令官のマルク・オーセダット少将は「ガリック・ストライクにおける野心的な2隻の空母運用は、フランスとイギリスの海軍が強固で効果的に連携していることを示しています。このような歴史的な初訓練に参加でき、双方の海軍が将来の任務に向けて強化されることを非常に嬉しく思います」とコメントしています。
今回の共同訓練では、NATOの第1・第2常設海洋グループを含む15隻の艦艇と57機の航空機が参加しました。訓練を終えた空母シャルル・ド・ゴールは母港トゥーロンへの帰途につき、空母クイーン・エリザベスは入れ代わりにスエズ運河を抜け、アジア太平洋方面へと進出する予定です。
<出典・引用>
イギリス海軍 ニュースリリース
NATO連合海上部隊司令部 ニュースリリース
Image:Crown Copyright/フランス海軍/USMC
(咲村珠樹)