ウクライナをめぐる情勢が緊迫しつつある中、地中海でNATO海軍部隊の共同演習「ネプチューン・ストライク」が2022年1月24日(現地時間)に始まりました。

 訓練にはアメリカの空母ハリー・S・トルーマンも参加。空母打撃群を中心としたNATO海軍戦力の任務遂行能力向上を通じ、加盟国間の連携を深めるのが狙いです。

 この「ネプチューン・ストライク」は、2020年に構想が具現化した「ネプチューン計画」と呼ばれる長期間の複合演習のうち、実際に部隊を動かす実働演習として位置付けられるもの。

 2021年に図上演習「ネプチューン・チャレンジ」が実施されており、その内容を実証することが目的です。

「ネプチューン・ストライク」エンブレム(画像:NATO)

 NATO海上打撃・支援部隊(STRIKFORNATO)副司令官、ジェームズ・モーリー少将は「ネプチューン・チャレンジは、我々の旗艦であるマウント・ホイットニー(アメリカ海軍の揚陸指揮艦で第6艦隊旗艦)において、スタッフたちがともに学び成長するまたとない機会をもたらしてくれました」と図上演習を振り返ります。

地中海を航行する空母ハリー・S・トルーマン(画像:U.S.Navy)

 重ねて「今度は、ネプチューン・チャレンジで得たものを実働演習であるネプチューン・ストライクに落とし込む番です。私はこの多国籍チームが力を合わせ、リアルタイムで最先端の戦力を指揮統制することを楽しみにしています」と、モーリー少将は語りました。

空母ハリー・S・トルーマンから発艦するF/A-18F(画像:U.S.Navy)

 全体の指揮を執るアメリカ第6艦隊兼NATO海上打撃・支援部隊司令官のジーン・ブラック中将は「アメリカ第6艦隊とSTRIKFORNATOの人員は、共同してハリー・S・トルーマン空母打撃群を指揮統制して打撃力を示すとともに、アメリカの海軍力とNATO加盟国との強い結束を知らしめます。これは、何十年にもわたる同盟内での相互運用性のたまものです」とのコメントを演習開始に先立ち発表しました。

空母ハリー・S・トルーマンの管制室(画像:U.S.Navy)

 NATOによると、アメリカ海軍の空母打撃群がNATOの指揮下に入るのは、冷戦終結後初めてとのこと。NATOのストルテンベルグ事務総長は「NATOは加盟国すべてを守るため、いつでも必要とあらば行動します」と、今回の演習に際し発言しています。

ハリー・S・トルーマン空母打撃群(画像:U.S.Navy)

 共同演習「ネプチューン・ストライク」は、地中海で2月4日まで実施される予定です。

<出典・引用>
NATO ニュースリリース
NATOナポリ統合軍司令部 ニュースリリース
アメリカ第6艦隊 ニュースリリース
画像:NATO/U.S.Navy

(咲村珠樹)