1月は1年で一番お餅を食べる時期。毎年高齢者を中心にお餅を喉に詰まらせて窒息してしまう人が後を絶ちません。政府広報オンラインも、SNSでお餅の窒息事故について注意喚起をしています。(正看護師:梓川みいな)

 正月三が日に最も増える、お餅の窒息事故。統計によると高齢者の死亡事故の43%が1月に、14%が12月に発生しているとのこと。また、男女比は約4:1で男性の方が多く、特に早食いの傾向がある人は危険度も上がります。

 政府広報オンラインでは以下の注意事項を紹介しています。

■ お餅が喉に詰まった時の3つのサイン

 最初に気をつけておくべき基本はコレ。3つのサインがあります。

・咳き込んだり、苦しそうな表情をしたりする
・声を出せず、手で喉をつかむような仕草(チョークサイン)をする
・顔色が悪くなる

 特に2番目のチョークサインは全年齢において喉に異物が詰まった時に見られるサインなので、必ず覚えておきたいポイント。息が上手くできない状態なので迅速な処置が必要です。

 咳を出せる、声が出せる場合はできる限り咳を出すように促します。この時点で強く咳ができない、呼吸困難な場合は窒息していると判断し、119番通報を行い気道異物除去を行います。

■ 気道異物除去の二つの方法

「背部叩打法」

 手のひらの付け根部分で左右の肩甲骨の中間あたりを数回以上力強く叩きます。高齢者の場合、骨に多少のヒビが入るかもしれませんが命には代えられないのでためらいなく行うのがポイント。

「腹部突き上げ法(ハイムリック法)」

 背部叩打法で異物除去が困難な場合に行います。ただし、この方法は、乳幼児や妊婦、高度肥満がある人は危険性が高いため行うのはNG。

 やり方としては、相手の背後にまわり両腕を上腹部(おへその少し上)にあて手前上方に強く突き上げます。両手で作ったこぶしで胃の内容物を押し上げる感じで強く。

 なお、この方法を行った場合は内臓への損傷の可能性もあるため、窒息が解除されたらすみやかに医師の診察を受けてください。

餅がのどに詰まった時の、正しい応急手当(出典:政府広報オンライン)

■ お餅を詰まらせないための3つのポイント

 お餅に限らず食べ物をのどに詰まらせないようにするためには以下の事を心掛けましょう。

1.ゆっくりよく噛む

 早食い傾向の人はその分詰まらせる傾向も強く出ます。早食いを予防するためには、ひと口で食べられる分だけスプーンにすくって手渡す、小皿に少しだけ取り分けるなどしてゆっくりと食べられる工夫をしましょう。丸飲みしないように噛む声掛けも大事です。

 また、ゆっくりよく噛むことで唾液の分泌も促せます。唾液は食べ物を詰まらせないようにするための大事な要素。

2.食事の最初は汁物から手を付ける

 食べ物の水分が少ない場合、のどに詰まりやすいのは皆さんも経験したことがあるかと思います。口の中に多少の水分があるとないとでは詰まり方も全然違ってきます。汁気の多いものから食べるようにしましょう。

3.詰まりやすい食べ物を飲み込みが良くない人に出す場合、ひと口大以下に刻む

 噛む力が弱い人や飲み込む力が弱い人も食べ物を詰まらせやすいです。お餅もサイコロサイズに切ってくっつかないように少しずつ食べてもらうようにすることで詰まらせるのを減らすことができます。

これらの3つのポイントは、病院や介護施設でも基本で行っているポイント。家庭だと目を配るのも大変かもしれませんが、このポイントを押さえるだけで事故率はグッと下がります。

 新年早々から悲しい事故とならないよう、ゆっくりのんびりと食事をしましょうね。

<出典>
政府広報オンライン「餅による窒息に要注意!喉に詰まったときの応急手当は?」
政府広報オンラインXアカウント(@gov_online