現在世界唯一の量産型ジェット飛行艇となっているベリエフBe-200。2018年3月12日(現地時間)、そのロシア非常事態省向け消防機、Be-200ESの4号機が初飛行を行いました。

 Be-200ES(Emargency Situation)は、ロシア非常事態省向けに設計された消防機型。ロシアでは夏季に森林・原野火災が頻発し、毎年多くの住民が命を落とし、また広範囲で家や農地が失われています。このため、広範囲を消火できる消防機が必要とされています。

 Be-200ESは着水した場所から最大12トンの水をくみ上げてタンクに貯蔵し、上空から放水する能力を持っています。ロシア非常事態省は2011年5月25日、新たにBe-200ESを8機導入する契約を結びました。ベリエフ設計局の経営不振などもあり、一時生産ペースが落ち込むなどの障害もありましたが、政府からの資金援助もあって持ち直し、2017年1月12日に初号機を引き渡しました。その後、2017年末までに3号機までの納入を終えています。

 3月12日に初飛行を実施したのは、シリアルナンバー306、登録記号RF-31380の機体。黒海の北部、ロシア連邦ロストフ州の都市タガンローグにある、ベリエフの工場に隣接する飛行場から、空へと飛び立ちました。

 この4号機は、納入前試験を実施したのちに非常事態省へと引き渡され、非常事態省のハバロフスク複合航空救難センターで運用される予定。現在ロシア非常事態省では、シベリア地域での森林・原野火災に対処するクラスノヤルスク航空救難センターでBe-200の運用が始まっています。工場では5号機の最終組み立てが行われており、続く6号機の組み立ても進行中。1〜3号機に比べて生産ペースは上がっているようです。

 消防飛行艇仕様のBe-200ESは、イギリスの航空関連企業グローバル・アビエーション・コンサルティングが、地中海地域での森林火災に使用する可能性について、ベリエフとの間で2018年1月に覚書を交わしています。グローバル・アビエーション・コンサルティングは、ヨーロッパやアメリカでのBe-200の販売やリース事業について興味を示しており、Be-200ESは海外へのセールスを目指している新明和US-2(消防機型も構想中)の強力なライバルとなりそうです。

Image:BERIEV Aircraft Company

(咲村珠樹)