2018年6月11日(アメリカ時間)、ロッキード・マーティンとF-35統合プログラムオフィスは、通算300機目となるF-35の引渡しが完了したと発表しました。合わせて、当初よりも生産コストを低減し、調達単価が引き下げられていることも発表しています。
通算300機目となった機体は、アメリカ空軍向けのF-35A。ユタ州のヒル空軍基地で運用される予定です。この機体の引渡しに際し、F-35統合プログラムのエグゼクティブオフィサーを務めるマット・ウィンター海軍中将は「F-35兵器システムは我が国における防衛力の鍵となる存在であり、我が国の航空戦力において、各種任務で作戦経験に裏打ちされた先進的な能力を発揮してくれることでしょう。300機目となるF-35の引渡しが完了したということは、この統合プログラムやアメリカの行政、各パートナー、そして工業における大きなマイルストーンです」と述べています。
300機の内訳は、通常離着陸型のF-35Aが197機と最も多く、ついでアメリカ海兵隊やイギリスで運用されるSVTOL型のF-35Bが75機、そして空母運用(CATOBAR)型のF-35Cが28機となっています。もちろん、この中には日本の航空自衛隊に引き渡されたF-35Aや、名古屋の三菱重工で組み立てられたF-35Aも含まれます。
すでにF-35は620名を越すパイロットが操縦しており、その整備には5600人が当たっています。トータルの飛行時間は14万時間を超え、この間墜落事故は起こしていません。これは新規開発された戦闘機としては、非常に珍しいことです。
300機目の引き渡しに合わせて、ロッキード・マーティンは現在のF-35生産の状況についても発表しています。これによると、調達単価は最初の発注に比べて60%以上下がっており、この5年間で工数も約75%削減。さらに2015年の状況に比べると製造に要する時間も約20%短くなるなど、製造コストが低減されていることを強調しています。
また、アメリカだけで見ても19万4000人以上もの直接雇用を生み出し、生産に参加している各国のサプライチェーン全体を見れば、10年以上の安定雇用を多数生み出しているとしています。安全保障の面だけでなく、工業製品として世界の経済に貢献する存在だということですね。
2017年に66機を引き渡したF-35は、2018年には91機の引き渡しを予定しています。これから生産ペースが年々上がり、2023年には年間160機の引き渡しを目指すとのこと。現状各国が手にすることのできる唯一の第5世代戦闘機として、これからも採用国は増加し、そして生産数も上がっていくものと思われます。
情報提供:Lockheed Martin/image:U.S.Department of Defense
(咲村珠樹)