2018年7月2日(現地時間)、アメリカのテキサス州アマリロにあるベル/ボーイング統合プログラムオフィスは、ティルトローター輸送機V-22オスプレイのアメリカ海軍型CMV-22Bや、日本の陸上自衛隊向けMV-22Bなど、計58機を総額41億9153万3822ドルで受注したと発表しました。アメリカ海軍向けのCMV-22Bは初の発注となり、空母への物資・人員輸送に長年活躍しているC-2グレイハウンドを置き換える計画です。
これは、2016年12月28日にアメリカ国防総省と締結した早期取得計画(N00019-17-C-0015)を更新するもの。58機の内訳は、海軍向け輸送機のCMV-22Bが39機、海兵隊向け輸送機のMV-22Bが14機、空軍向け輸送機のCV-22Bが1機、そして日本の陸上自衛隊向けMV-22Bが4機です。
今回の受注で特筆すべきは、アメリカ海軍向けのCMV-22Bでしょう。これは1969年代から空母と陸上を結ぶ艦上輸送機(Carrier Onboard Delivery=COD)として使用されてきたC-2グレイハウンドを置き換えるものとして調達されます。現在使用されているC-2は1984年から1990年にかけて製造された後期型ですが、それでも調達から四半世紀以上がが経過し、機体の老朽化も目立ってきました。そこで2015年、新しい輸送機としてオスプレイを採用することになったのです。
CMV-22Bは、基本的に海兵隊向けのMV-22Bと変わらないものとなります。現行のC-2は最大貨物搭載量が7.7トン、航続距離3000km弱に対し、MCV-22Bオスプレイは最大貨物搭載量約9トン、航続距離3500km強と特に輸送量が強化されることになります。最高速度、巡航速度はC-2に比べて10kmほど遅くなりますが、あまり大きな差にはならないでしょう。
むしろ気になるのは、人員輸送用の座席がC-2は旅客機と同様のものだったのに対し、MV-22Bは折りたたみ式の簡易座席となっていること。そのままでは快適性が損なわれることになります。ゲストを洋上を航行中の空母に招待する際にも活躍するだけに、人員輸送用に座席のパッケージを搭載できるようにするのか、その辺りも気になるところです。
陸上自衛隊向けのMV-22Bは、平成30年(2018年)度予算に計上されている4機調達分となり、ひとまず最後の発注分(計17機)となります。
今回発注分の陸上自衛隊向けを含む58機は、2024年までにかけて順次生産していく複数年契約となっています。海軍向けオスプレイが正式発注されたことで、アメリカの空母にもオスプレイの姿が見られるようになります。
Image:Boeing
(咲村珠樹)