デリバリーサービス「出前館」の配達員登録資格がない人物に対して、配達員アカウントを貸し出し、報酬を得ていた人物らの逮捕が5月15日、新聞やテレビなどで報じられました。

 同日、出前館は公式サイトで声明を発表し、これまでの経緯と今後の対応方針について説明しました。

■ 出前館の対応と“アカウントの貸し借り”への警鐘

 出前館では、日本国内で就労制限のないことを配達員登録の条件としており、アカウントも登録者本人が使用することを原則としています。

 しかし、実際には不正にアカウントが第三者に貸し出され、本来働くことができない人物が配達員として稼働していることを検知。

 同社は関係機関への情報提供や被害届の提出を進める一方で、アカウント作成時の審査手順を見直し、転貸が疑われるアカウントの再審査プログラムや、顔認証を含む本人確認システムの改修など、再発防止に向けた対応を行ってきたとしています。

 今回の声明の中で出前館は、「不当なアカウントの貸し出しについての法的対応を含め、断固として許容しない強い姿勢と対応で臨んでおります」と強調。また、不正利用のリスクについて広く認知を促すため、今後も注意喚起や啓発活動を継続していくとしています。

 さらに、「ユーザー、加盟店、配達員のみなさまに、多大なるご心配とご迷惑をおかけしたことを深くお詫び申し上げます」と謝罪の意を示し、今後も安心・安全に利用できるサービスの提供を目指すと結びました。

出前館の声明

■ SNSに投稿されていた「出前館案件」

 出前館の配達員アカウント貸し借り募集については、2022年頃からインターネット上に投稿されるようになっていました。

 主にSNSにて募集がかけられ、「出前館案件」「出前館業務委託案件」「CICブラックの方も参加可能」と宣伝。

 これは、配達員登録ができない在日外国人等に対して、自身が取得したアカウントを貸し出す「闇バイト」。月1~2万円の報酬で募集が行われ、お金に困った人たちが協力していたものと見られます。

 一方、働く側に対しては「出前館配達アカウント共有」などといって募集をかけ、1アカウントあたりの借用料は月1万円から。中には最大4アカウントまで貸し出せると謳っていたケースもあります。

 報道によると今回逮捕されたのは、アカウントの貸し借りを仲介していた人物2人に加え、アカウントの名義人(登録して貸した人物)と、それを借りて実際に働いていた外国人の計4人。

 たとえ「気軽な副業」「ちょっとしたお小遣い稼ぎ」のつもりで関わっていたとしても、違法行為であれば逮捕に至る――そんな厳しい現実を、今回の逮捕劇は如実に示しています。

 なお、こうした募集は出前館に限らず行われており、編集部の調査では、少なくともwolt、menu、UberEATSの名前でも同様の募集が確認できています。

<参考>
出前館「5月15日(木)の一部報道について